藤井聡太七段が2月5日、順位戦C級1組10回戦で近藤誠也五段と対戦した。
藤井聡太七段と師匠の杉本昌隆七段が、9戦全勝でそれぞれ1敗の近藤誠也五段、船江恒平六段と対戦した。
二人が勝てば、最終戦を待たずに、子弟揃って昇級となるドラマチックな展開になっていた。
なので注目の一戦。
師匠の杉本昌隆七段は、和服姿で対局に臨む気合の入れよう。
さて、藤井聡太七段と近藤誠也五段の対局をAbemaとニコ生で見ていた。
角換わりの将棋で、じりじりした戦い。
序盤は、藤井聡太七段が若干リード、中盤、近藤誠也五段がリードを奪い返したけど、終盤の入り口で、また藤井聡太七段が逆転した。
これで勝ったかと思ったんだが、
ここで、先手の藤井七段が2二歩成りと指した。
Abemaでは、山崎隆之八段が解説していて、これ以降の複雑な勝ち筋を盤上で指し示し、藤井七段が凄い踏み込みをして、勝ちになったかと思ったんだが、ニコ生のポンポコを見ると、近藤五段の優勢になっていた。
解説は、如何にも複雑な手が続いたので、どこかに読み抜けが生じていたんだと思う。
そして、近藤五段が、以降正しい手を指し続けて、勝ち切った。
どこかで、ミスるかなと思っていたんだけど、近藤五段も強かった。
この敗戦で色々な記録がストップした。
まず、昨期から続いていた順位戦での連勝記録は、中原誠十六世名人と並ぶ史上最多タイの「18」でストップした。
まだわからないが、今期37勝6敗、勝率.860で、中原十六世名人が持つ年度最高勝率(.8545)の更新も期待されていたが、この敗戦で、勝率.8409と下がった。
さて、一番重要なのが、連続昇級できるかどうか。
師匠の杉本七段も船江六段に敗れたため、4人が8勝1敗で並んだため、順位が、
近藤五段(6位)
杉本七段(7位)
船江六段(14位)
藤井七段(31位)
となった。 ()内は前年度の成績をもとにした順位。
B級2組には上位2人が昇級するが、勝敗数が同じ場合は順位が上の棋士が優先される。
ということで、最終戦で藤井七段以外の3人の内、二人が勝てば、藤井七段の昇級は阻止される。
例えば、船江六段が負けて、近藤五段・杉本師匠が勝てば、藤井七段の昇級は、師匠の手によって阻止されることになる。
こうなれば、師匠がネットで大いに叩かれるのが目に浮かぶよ。 弟子の昇級を自ら阻止する師匠と。
まあ、勿論まだ子弟同時昇級の可能性は残っているけど、そういう美談にはならずに、最悪の展開になる流れのような気がするなあ。
自分が注目しているのは、順位戦でデビューから4年連続で昇級してA級に上がり、A級1年目で優勝し名人挑戦→奪取出来るかどうか。
過去、順位戦でデビューから4年連続で昇級してA級に上がったのは、加藤一二三九段と中原誠永世名人の2人。
しかし、A級1年目は優勝できず。
谷川浩司九段はC2級で1年足踏みし、5年でA級に上がり、A級1年目で優勝し名人挑戦→奪取という偉業を成し遂げた。
羽生善治九段は7年でA級に上がって、A級1年目で優勝し名人を奪取した。
ということで、最短の4年でA級に上がって、A級1年目で優勝し名人挑戦→奪取した棋士はいない。
それが実現できるかどうかが、歴史上の最強棋士と呼ばれるかどうかの一つのファクターになると思っているんだけど。
藤井七段は、そういう運命の下にいるかもと思っていたんだけれど、この敗戦でかなり危うくなった。
もしかしたら、順位戦負け知らずの全勝で名人になることもあるんじゃないかと思っていたぐらいだからなあ。
もし昇級できれば、やっぱり、将棋の神様に愛されているんだなと思う。
最終戦は3/5。 どうなるか、注目だね。