羽生九段、衰えたと言われながらNHK杯を制す。

 平成最後のNHK杯テレビ将棋トーナメントの決勝、羽生九段と郷田九段の対決となった。
ベスト4が、羽生九段と丸山九段、郷田九段と森内九段の羽生世代の揃い踏みとなったので、同窓会対決と呼ばれた面白い組み合わせになった。
まあ、この時点で羽生九段の優勝の可能性が高いなあと思ったんだけど。

決勝は、いつもながらの角換わりの戦型になった。
時間を使わず、どんどん手が進んでいく。
そして、この場面、

先手、羽生九段が4三歩と歩を垂らした所。
これは、初めて見た。 研究手かな。
感想戦では、部分的にはある手と羽生九段は答えていたが、割と早く指したから、研究手と思うけどなあ。
佐藤会長の解説では、同銀しか見えないけどということだったけど、郷田九段が4七歩と打ち返して、完全な攻め合いとなった。
そして、勝負所のこの場面で、

羽生九段が3五桂と桂馬のタダ捨ての手を指した。 少し手が震えているように見えたが。
これが、絶妙な決め手だった。 
郷田九段は、この手を見えていなかったと答えていたが。
郷田九段は、同歩と出来ず、しょうがなく同角として、角桂交換となった。
これで、一挙に形勢が羽生九段優位になった。
後は、羽生九段が順調に押し切った。

羽生九段は、タイトルをすべて失ったけど、まだまだ強しという内容だった。
これで、NHK杯は11回目の優勝。 凄いね。
1988年度、元号が1989年(平成元年)1月8日に変わった時に決勝で中原誠棋聖に勝って、当時羽生五段が最年少優勝を飾った。
これは、見ていた。
大山康晴(3回戦)、加藤一二三(4回戦 = 準々決勝)、谷川浩司(準決勝)、中原誠(決勝)と、当時現役の名人経験者4人をすべて破るという、快挙だった。
これは、ワクワクして見ていた。
何と言っても、準々決勝の加藤一二三戦の伝説のただ捨ての▲5二銀打ち。
あれには、興奮したねえ。 米長元会長の解説が煽って煽って。 あれで、一挙に羽生ファンになったよ。
あれを生で見れたのは、良かった。
藤井聡太七段のデビューから無敗のまま歴代最多連勝記録を更新した29連勝、あれも数十年後には、俺、生で見たよと語られることになるだろうなあ。
これで、平成の最初と最後の年を羽生九段が優勝したことになる。
まさに、平成は羽生九段の時代だったんだな。

今回の羽生九段の4三歩と歩を垂らした手、研究手と思うんだけど、新手らしき手が最近随分増えたと思う。
どんどん自分から積極的に新手らしき手を指している。
そして、局面を動かして、優位に立つけど、そこから勝ったり負けたりしている感じかな。
恐らく、講演を止めて、将棋を研究する時間が増えたからだと思う。
だから、じきに羽生九段はタイトルを取り返すと思うなあ。
最近の若手の序盤の早い時間戦術に対応しきれずに、タイトルを失ったという印象が強い。
実力が衰えたというより。 それももうすぐ対応できるようになると思うよ。

このNHK杯優勝が復活ののろしとなるといいんだけど。
そして、羽生善治vs藤井聡太のタイトル戦を見たいものだ。

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