西宮市大谷記念美術館で、西宮の狩野派「勝部如春斎」18世紀摂津の画人列伝を見てきた。
西宮生まれの18世紀の狩野派の画家を取り上げた展覧会。
自分にとっては、知られざる画家で、思いがけずいい絵が見れた。
まず、最初の部屋に大作の屏風が飾られていた。
★勝部如春斎「松桜に孔雀図」弘誓寺(池田市)蔵
これが、いい。
特別な個性があるわけではないが、いい絵である。
隣にあった「花鳥図」も、スキのない構図で、繊細な美しさがあった。
一方、「松楓に孔雀図」や「秋風に鶴図」が酷いな、何だろうこの画家はと思っていたら、解説に後世の補正が入っていると書かれていて、そういうことか、酷いことしやがると思った。
あと、表が「四季草花図」で、裏が「芦雁図の屏風があったが、表はイマイチだが、裏の水墨画は良かった。
裏には「如春斎」のサインがあったが、表にはなし。
表は、如春斎の絵ではないと思うが、どうだろう。
二階に上がると、「明兆」を模写した仏画「三十三観音図」があった。
最初は模写のせいか、固い線の絵が多かったが、段々自由闊達な線になってきて、中々良かった。
「琴棋書画図」、全体的には、イマひとつ足りないのだが、テーマは穏やかなのだが、荒々しさを秘めていて、岩の線も力強い。 狩野派的な絵。
★勝部如春斎「小袖屏風虫干図巻(部分)」大阪市立美術館蔵
この絵が本展のベスト。
屋敷の竹垣の向こうに桜と柳がある。 松の緑の陰影が美しい。 春。
門を入ると、山水の庭があり、屋敷内へと入ってくる。
緑に縁どられたすだれが風に揺れている。
障子が払われた大部屋に紐が張られ、色とりどりの着物が虫干しされている。
同じく、様々な絵が描かれた屏風も虫干しされている。
その絵の見事なこと。
その絵の中で、うつりゆく季節が描かれている。
朝顔の屏風、紅葉の屏風と続き、最後は庭に雪を被った梅が描かれている。
何ともイキで美しく表現された四季絵巻である。
猿の画家、森狙仙は、勝部如春斎の弟子らしい。
「野猿図」は、良かったな。
江戸時代は面白い。
まだ名の知らぬいい画家がいるかもしれない。