黒田清輝展 ~京都文化博物館~

 黒田清輝展を京都文化博物館で見た。
黒田清輝の没後90年ということで、代表作約160点が集められた。
良くない。 面白くない絵が続く。
やはり、洋画の歴史の無さ。
唯、描いているだけでは、絵とは言えない。
湖畔
 《湖畔》、少しいいけど、水彩画みたいだ。
油絵の魅力全開とは、言えない。
 《智・感・情》も、ピンとこない。
黒田清輝の絵が、面白くなるのは、晩年。
 「栗拾い」、栗籠を担いだ野良の少女が、どかんと描かれ、荒々しい筆致もよし。
油絵らしい絵だ。
「嵐」、色を塗りたくって、嵐に翻弄される草木が描かれている。
大して良くないけど、単なる写実を離れて、油絵の魅力を出そうと、挑戦しているのが感じられる。
この挑戦が、晩年の開花につながる、ように思われた。
 森の夕日
 「森の夕日」、森は薄黒く、夕空は、その森の黒さを反映して、黒ずんでいる。
印象派のような絵。 留学の若き日に、印象派を見たのだろうか?
薔薇
 この「薔薇」も好きだ。
地味な色合いだが、実物は、バラの花が手前にこぼれてくるようだ。
梅林
 そして、絶筆の「梅林」。
夢、幻を描いたかのような。
単なる写生から、よくぞここまで来たもんだ。
洋画のない時代だから、どうしても学ぶ姿勢が強くなる。
そこから、脱却するのは、後の世代よりよっぽど困難。
 見がいのある、展覧会だった。
晩年の絵があってこそであるが。

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