京都国立近代美術館で上村松篁展を見た。
上村松篁と言えば、女流画家・上村松園の長男である。
花鳥画を沢山描いているイメージがあった。
今回、初めてまとめて作品を見た。
初期の作品、「椿」が断然良かった。
デッサン風だが、すみずみまで、くっきりとした、確固たる描線に、画家の意志がみなぎっていて、これから見る作品たちに期待が高まった。
解説には、赤子のようなさらな眼で見るということを、初めて実感した、と画家の言葉が書かれていた。
うん、うん。
しかし、裏切られた。
一言で言って、コギレイかつお上品な作品たちである。
力がない。 ちっともこちらの心に響かない。
「春雨」。
少女が退屈のあまり寝転がって、障子の外の雨を見ている絵。
雰囲気は出ている。 しかし、雨の雰囲気は出ていない。
結局、全部見て、ベストは、初期の「椿」。 で、それのみ。
この作品を、以後画家は超えることが出来なかったんだ。
こんなことがあるんだ。 ほんと、画家というのは、つらい存在である。