皇室の名宝展    東京国立博物館

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         劉生の麗子像

 御即位20年記念 特別展「皇室の名宝日本美の華」2を見に東京国立博物館に行った(09/11/21)。速水御舟を見に来たついでである。本当は1期を見たかったのだが、速水御舟

展とのかねあいでしょうがない。

1時ぐらいに着き、10分ほど並んで入れた。壁掛け展示ではなく、ショーケースに平置きの展示が多かったので、人がへばりついて見ることができない。普段、人の後ろから離れて自分のペースで見るので、ちまちま並んで見る気になれない。ということで、最初の正倉院宝物や文はすっ飛ばす。お目当ては、絵巻である。「絵師草子」、とてもいいと最初は思ったのだが、そうでもないようだ。そして「春日権現験記絵」、まず1巻、案外うまくないのにがっかりする。木が下手である。5巻、少し良くなる。そして、19巻、TVで見た紅葉の森に雪が降り積もっている美しい場面である。ぱっと見、のっぺり見えて、がっかりしたのだが、じっと見ていると、段々良くなってきた。やはり、美しい。そして気付いた。この雪山の場面の前は、春日大社で武士が戦闘の準備をしている緊張感のある場面である。そして、その場面から杉林へと移っていき、雪山になる。そして、山あいでの凄惨な戦闘の場面へと続くのである。この戦闘の合間に、静かな雪景色を配置したのが、いい。画家の祈りのように思えた。歴史の教科書で有名な「蒙古襲来絵詞」、蒙古軍の風俗にどうしても眼がいく。興味深い。貴重な物が見れたという満足感があるが、まあまあという絵である。馬がうまいが。

 俵屋宗達の扇面散屏風」、平治物語絵巻を扇面で表現するという斬新さ、さすが宗達である。しかし、それでいい効果が出ているという訳でもないのだが。狩野探幽の唐子遊図屏風」、子供がいきいきと描けていて、なかなかいい。あまり凹凸をつくらず、一直線に子供たちを配している。そこがいい。東京都美術館で02年に狩野探幽展を見たことがある。解説に狩野探幽は毀誉褒貶があると書かれているのを見て、驚いた。狩野探幽は、大画家であるという先入観があったからだ。しかし、その展覧会を見て、納得した。二条城障壁画が素晴らしく、さすがと思っていたら、他は良くない。しかし、時々はいい絵があった。それで探幽はイマイチという思いがあるが、この絵はいい。

 本館の常設展で、企画展示として、明清の書画が展示されていた。そこで、素晴らしい水墨画を眼にすることになる。文伯仁の四万山水図」、4幅からなり、白描のような印象を受ける。異なった情景を見事に描き分けている、そのうまさたるや。まず万壑松風」、画面下から峡谷に松が折り重なるように積み上げられている。その迫力たるや、見事である。こういう風に描かれた山水を見たことがない。「万竿烟雨」、川岸の煙る竹林が描かれている。濃淡が素晴らしい。しっとりとした山水である。「万頃晴波」、穏やかな海が画面いっぱいに描かれている。というか余白がとられている。そして、うす~い波線で波が表現されている。他の描きこまれた3幅との対比で面白い。最後に「万山飛雪」、これが素晴らしい。ぱっと見、雪山にみえなかったのだが、よく見ると雪山である。岩や木の輪郭にのみ影線を配し、余白で雪を表現している。こういう描き方は、初めて見た。露骨に雪を表現していないのだ。単なる余白なのか雪なのかがわかりにくい。全体を見て、雪山なのだなと感じるように絶妙に表現されている。重文に指定されているが、かなりいい絵だと思う。他の水墨画もいいが、張路の漁夫図」もかなりいい。

日本画では、伝狩野元信の太公望・文王図が良かった。雪舟かと思ったほどだ。劉生の重文の麗子像も見ることができた。

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  狩野探幽の唐子遊図屏風」   岩佐又兵衛 小栗判官絵巻

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        「春日権現験記絵」       蒙古襲来絵詞

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