武者絵
「坂田怪童丸」 「宮本武蔵と巨鯨」
少し前の話になるけれども、大阪市立美術館で歌川国芳展を見た(2011/5/6)。歌川国芳の没後150年にちなんで開催された大規模展である。江戸末の浮世絵師である。広重と同年の生まれとは、驚きである。浮世絵衰退期を洒落た絵を描いて、奮闘したイメージがあったのだが。まず、武者絵。その写実力と動的構図にこの絵師の素晴らしい腕を感じることができる。ただ、感動する絵ではない。役者絵や美人画、風景画やユーモアとウィットに富んだ戯画など、多士歳々な絵が続く。才人である。しかし心にひびく絵はないなあ。一番気に入ったのは、「荷宝蔵壁のむだ書き」、単純な線で、役者の特徴を見事に捉えているかのように見えるのに、見とれてしまう。