小磯記念美術館で「パリに生きる パリを描く」-M氏秘蔵コレクションによる-を見てきた。
藤田嗣治をはじめ、児島虎次郎、梅原龍三郎、安井曾太郎、小野竹喬、佐伯祐三、荻須高徳、小磯良平、鴨居玲など、パリに憧れ、パリに渡った洋画家たちが描いたパリの絵を、M氏秘蔵コレクションを中心に、約100点で紹介します。とのこと。
何となく、面白いかもしれないと見に来た。
この美術館は2回目。
前回、何を見に来たのかは、思い出せない。
大体、小磯良平の絵が好きでないからね。
薄っぺらい。
入り口にM氏のあいさつが載っていた。
佐伯祐三の絵を見て感動したのをきっかけに、日本人画家のパリの絵を集め始めたと。
いい文章だった。
実に色々な画家のパリ渡航時代の絵が展示されていた。
良く収集できたものだ。
若い頃の絵が多く、若い力が感じられた。
藤田嗣治のパリの風景が5点もあった。
藤田のパリ風景は暗い。 そこがいい。
梅原龍三郎のパリの絵は、全然パリらしくない。
「セーヌ河畔」は北京秋天みたいな色合いだし、「巴里風景」はカンヌみたいな色合いで、場違いと言う感じだった。
ただ、色は美しい。 色の美しさなら、本展一番だった。
絵だけを見て、画家を当てるゲームを楽しんでいた。
中川一政の「ポンタベン」は、中川だとわかった。
対象の形の崩れ具合が独得なのだ。
高野野十郎の絵があるのには、驚いた。
パリに行ったことがあったとは。
「秋たけなわ」、どうみても、日本の紅葉の秋だ。 そして濃密な世界。
そして、佐伯祐三。
「オーヴェル風景」は、厳しい絵だ。
そして、「パリの坂道」。
ぎゅっと奥に締まるこの風景に緊迫感を感じる。
佐伯のこの二つの絵は、迫力がある。
今まで見たことのある佐伯の絵よりいいなあ。
荻須高徳の絵がたくさんあった。
いい感じだけど、どれも同じだ。 佐伯の亜流と感じてしまう。
「アンジュー河岸」だけ、雰囲気が違って、伸びやかなタッチで、いい絵だなと思った。
長谷川 潾二郎の「パリの街角」。
アパートの窓と入り口を描いただけの絵。
品格があり、端正な絵だ。
岡鹿之助かな、と思ったんだが、長谷川 潾二郎だった。
猫の絵で知っている画家だ。
二人とも品格があるからな。
海老原 喜之助の「川沿いの家」。
とても惹かれる雪景色の絵だ。
暗いけど、雪の白さが明るい。
本展で一番好きな絵かな。
里見勝蔵の絵が2点。
ブラマンクのように激しい絵を描く。
「風景ポントワーズの朝」
嵐を予感させる暗い空。
それでも美しい。
里見の絵に今まであまり美しさを感じたことはなかったけど、いい絵を持ってるなあ。
それにしても、M氏は個人でよくこれだけいい絵を持ってるなあ。
しかも、パリに渡った洋画家たちが描いたパリの絵というテーマで集めているのも、個性的でいい。
個人の収集した絵で展覧会が開けるんだから、素晴らしい。