未知へのまなざし    大阪市立近代美術館

_640

_640_2

  吉原治良 「水族館」   吉原治良 「縄をまとう男」

 未知へのまなざし~シュルレアリスムその波紋~を見に大阪市立近代美術館に行った(09/11/14)。隣の東急ハンズで買い物もしたかったので。

 さて、パンフの吉原治良「縄をまとう男」と瑛九「顔(1)」に魅かれて見に来たのだが、見ごたえのあったのは、この二人だけだった。ダリやマグリット、ジャコメッティの作品もあったが、過去に見たことがある。ここの作品はやたらと貸し出されているようだ。

 吉原治良の作品は、11点ほどあった。彼の絵を見るのは、初めてだ。最初に、「水族館」、水槽の魚を描いた写実的な普通の作品だが、これがなかなかいい。薄塗りの油絵で、こういう滑らかなマチエールは、フジタを少し連想させる。そして、隣に「縄をまとう男」。水中メガネをした潜水夫みたいな男が大量の縄を体に巻いて担いでいる。訳がわからないが、男にやけに存在感があって、魅かれる。面白い。想像で描いたのか、実際に見たことがあるのか微妙だが、なんだろう。とにかく面白い。こういう絵は面白い。青空に浮かぶ姿が美しくもあるし。いい絵だなあと思う。「風景B」も面白い。「蛸壺」、何を描いているかわからなかったが、視覚的に面白いし、色合いも美しい。「詩人祭に寄せる絵画習作」も透明感が美しい。色々な絵を描いているが、それぞれいい所があって、シュルレアリスムかもしれないが、面白い画家だなあと思わせる。

 もう一人の瑛九、彼の名前を知ったのは、TVのなんでも鑑定団であった。俺は絵を見る眼があると豪語する依頼者だった。これほど自信があって、それを遠慮せず表明する男はそれまでいなかった。番組史上一番じゃないかな。瑛九と知り合いだったみたいで、瑛九が描いている横で、これはすごいと思って、売ってくれと交渉し、高かったそうだが、売ってもらったそうだ。鑑定師の永井さんが、瑛九の代表作だと言ってこの絵に破格の値をつけたのには驚いた。何を描いているのかわからないが、あえて言うと花火みたいな絵だったように思う。この依頼者は、俺にはよく絵がわかるから、とても画家にはなれない。いい絵が描けるとは思えない。画家になるのは、絵がわかっていない向う見ずな奴だけだと偉そうに言っていたのが印象的だった。さて、瑛九の絵だが、キュビズムみたいな「顔(1)」は、絵ではなく、フォト・デッサンと言われる物で、よくわからないが写真素材でできている物だった。絵的にいい絵である。他のエッチングの作品も、何やら細かな物が描きこまれているが、全体的にいい。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
「関連コンテンツとスポンサーリンク」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする