大正期、再興院展の輝き展    滋賀県立近代美術館

 大正期、再興院展の輝き展を見に滋賀県立近代美術館に行った(09/09/26)。滋賀県立近代美術館は、久しぶりだ。小倉遊亀展以来のような気がする。ずっと面白そうな展覧会をやっていなかった。今回は、速水御舟のいい絵が見れそうなので。

 特にどうということもない絵が続く。そして、速水御舟の洛北修学院村」、群青の比叡山とその麓の村を描いている。手前の坂が村に下っていき、村は木々に取り囲まれ、その向こうに田畑が広がっており、それらが俯瞰で描かれている。その俯瞰で描かれた構図が面白い。そして雄大な広がりを感じさせる。濃い群青が、神秘的な感じを与えている。実にいい絵である。学芸員の方が、解説で12千万円で購入して物議を醸したと言っていた。値段の相場はわからないが、素晴らしい絵であることは間違いない。次に、同じく速水御舟の比叡山」、こちらは比叡山のみがアップで描かれている。濃い群青で不気味な雰囲気を醸し出している。尾根、谷の凹凸を強調していて、それが不気味感を強めている。なぜ、こんな風に、不気味に描いているのだろう。これは、霊山として描いているのだなと。山の背が光っている。しかし、比叡山てこんな風に見えたっけ。この画家の敏感な感性がこう捉えたということだろう。

近藤浩一路の京洛十題」、山水ではなく現代の風景を描いた水墨画、情感があり素晴らしい。この画家の絵は、ちらほら見たことがあるが、なかなかいい。「市原野夕照」、太陽と光を描くのに、墨の塗り残しの白で表現していて、まぶしく見えてしまうところなど面白い。小川芋銭の沼地四(沼四題)泥鰌打」、この人の水墨画も味がある。川端龍子の霊泉由来」、この絵が面白い。白滝を真ん中に、右に滝壺に鹿、左に滝壺で肩脱ぎをする女性を描いている。変に古典的なテーマだが、何だか面白い。川端龍子といえば、派手で向こう受けをする絵を描く画家というイメージで好きでないのだが、この絵は面白かった。小茂田青樹の四季草花図 夏・冬」、冬の雪をかぶる椿の絵は美しい。ところが、夏のアサガオは、琳派のへたなまねのようで良くない。小茂田青樹の絵が、多くあったが、いいんだか悪いんだか。

 常設展も見れたのだが、菱田春草の落葉」が素晴らしかった。

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速水御舟の洛北修学院村」  川端龍子の「佳人好在

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   菱田春草の落葉

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