アルベール・アンカー展   美術館「えき」KYOTO  08/05/24

 京都駅ビル内 JR京都伊勢丹7階にある美術館に「アルベール・アンカー展」を見に行った。スイスでは、国民的画家として親しまれているらしい。パンフの少女がおさげを編んでいる写実的な絵を見て、こういう心なごむ絵を見るのもいいかと思って見に来た。この画家は、スイスの田舎の暮らしの中の人々を描いている。風景とか暮らしを描いているのではなく、あくまでも人を描いている。爺さんや少女だ。
 さて、最初に水彩画が飾られていた。あまりにも精緻なので、ほーっと感心しながら見たが、若描きではなく、晩年の作だった。次に30代の油絵が並んでいたが、やぼったい。40代から絵が俄然精緻になってくる。いわゆる写真のようだという奴だ。60代になるとさらに磨きがかかってくる。少女の金髪の前髪のほつれなどは、絶品である。静物画が4点ほどかかっていた。アンカーの作品では、静物画が一番近代的で、当時マネに次ぐ存在と解説に書かれていた。それはどうだろう。3点目の白を基調とした静物画「お茶の時間」が美しかった。凄い静物画となると、物の存在感が描かれているだけでなく、見ていると何か別世界のような不思議な感じがするものである。そこまでは、いかないな。次は、少女達のコーナー。パンフのおさげの少女など美しい絵が並んでいる。アンカーは、少女の画家だな。
 さて、一番良かったのが、自分の娘達を描いた絵だ。「ブローチを着けたルイーズ」、伏目がちで、少し憂いを帯びた表情が実に美しい。好きだなあ。「マリー・アンカーの肖像」、シックで精緻の極みという絵だ。もう一点、次女を描いたいい絵があったが、中身が思い出せない。息子二人の死の床を描いた絵もあった。冷静な絵である。凄味はない。
 アルベール・アンカーは、19世紀後半に活躍した画家である。後期印象派が活躍した時代だが、アンカーは、いわゆる古いタイプの画家である。特別な物は、個性的な物は、何も感じなかった。そこが物足りないところだ。唯、頑固に故郷の人々を描くことにこだわったということが彼の個性であろう。そしてひたすら腕を磨いた。腕はなかなかな物だと思う。
 写真は、左が「髪を編む少女」右が「マリー・アンカーの肖像」。

Mdz8lncn

スポンサーリンク
スポンサーリンク
「関連コンテンツとスポンサーリンク」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする