京都文化博物館に「乾山の芸術と光琳」展を見に行った。焼き物にそれほど興味はないのだが、乾山の高い芸術性と光琳の実弟ということに惹かれて、見に行った。やはり、焼き物を美しいと思っても、感動することはないなあ。そこが物足りないところだが、さすがにその美しさは一級品だと思った。乾山の美しさは、何と言っても、そのデザインの美しさにある。表に描かれた絵やデザインも素晴らしいが、器の縁に描かれている幾何学文様にも美しさがある。こういう所に、高級呉服商・雁金屋で小さい頃から当たり前のようにデザイン触れてきた素養が現われているなあと思った。勿論、乾山の凄さは、京都の美の伝統を身に沁み込ませていながら、斬新な美を作り上げたところにあるのだが。
「銹絵掻落蔦文火入」、光琳による蔦文様が規則正しく並べられているだけなのだが、器としてキリッと締まっているところが好きだ。「銹絵染付白彩菊桐六角向付」、これもいい。「銹絵染付春草文蓋茶碗」、このデザインには、ドキッとした。春草の文様が、山形に切り取られ、それが二つずらして、山並みのように描かれている。山形に切り取られた文様と余白、その調和が実に素晴らしい。この展覧会は、日本のデザインの美を楽しむのにいい機会だと思う。
写真は、「色絵紅葉文透彫反鉢」。