日独は、もう経済成長しなくていいよ。(1)

 水野和夫という大学教授が経済誌に面白い記事を書いてた。
感心したので、水野和夫という人をネットで調べてみたら、仙谷由人の経済ブレーンであり、民主党政権で内閣官房内閣審議官を務めた人。
これは、あかん人や。 けど、記事は面白かったので、紹介しよう。

 日本の10年物国債の利回りがゼロ近辺で推移している。
これは、歴史的に見て、異常なこと。
そして、企業が外部資金を調達してまで新たな店舗や工場を作る必要がない、儲かる投資先がないことを意味する。
逆に言えば、資本の自己増殖をしなくていいほど、資本の積み上げが進んでいる。
そういう意味では、日本は世界で資本主義の先頭に立ったと。
象徴的なのは、コンビニ。
コンビニは全国で5万店舗。 1店舗当たりの周辺人口は2200人で1000世帯。
平均で1世帯の内、誰かが必ず毎日コンビニに行く状況になっているそうだ。
そして、この状態は丁度飽和状態にあると。
住宅も空き家率が高まって、飽和状態にある。
食品も1~2割も廃棄ロスがある。
つまり、日常生活する上で、今の資本ストックがあれば十分だと。
実質ベースの資本ストックを実質GDPで割った値を資本係数という。
日本には1300兆円の実質民間資本ストックがあり、500兆円のGDPなので、資本係数は2.4。
ドイツは2.0で、両国が世界の1,2位。
その両国で10年物国債の利回りがゼロ近辺なので、資本蓄積が十分ですというサインが出ていると。
(ここで、資本係数について調べてみると、生産物1単位を生産するために,その何倍の資本を必要とするかを示す係数のことで、値が低いほど、経済効率がいいと捉えられている。しかし、ここでは、資本蓄積量の多さを表すと捉えられているようだ。)
日独は、英米が中心になって築いた資本主義を取り入れ、追いつき追い越せで、ついに資本主義の世界最先端に登り詰めた。
日独は、資本主義の卒業式をやってもいいくらいだと。
資本主義はあれも足りないこれも足りないから始まったけれど、日独は資本の不足状況から脱して、十分足りる社会になったと言える。

 前から、日本はこれだけ豊かになって、これ以上経済成長をする必要があるのか、疑問に思っていた。
ただ、成長を止めることは、多分衰退につながるんだろう。
そこから逃れることは、人間はできないような気がする。
なら、GDPを追い求めることが、日本にとってあまり意味のないことなんだろう。
今、GDPに代わる指標が探されているようだけど。
幸福度なんて話があるみたいだけど、数値化できないから無理だね。
資本ストックがいい指標に思えて、ネットで調べてみたけど、世界各国の数値は出てない。
計測方法が統一化されていないので、比較できないようだ。
なら、今一番必要としている日本が新しい経済指標・社会指標を作り出して欲しいなあ。

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