鹿児島の霧島連山に登った。高千穂河原に車を止め、そこからバスに乗って、えびの高原に向かう。縦走のまず一番目、韓国岳に登る。GW初日だが、結構人がいた。登るにつれ、振り返ると、素晴らしい景色が広がっている。白い硫黄山とその向こうに不動池が見える。さらに登っていくと、甑岳、白鳥山と御池という具合に眼に入ってくる。そして、頂上手前で、大きな火口湖、大浪池が見えてきた。素晴らしい。東側には、韓国岳の大きな火口を覗き込む。北西に切れ目があるので、韓国岳を下から見ると、ふたこぶに見えるのだ。そして、これから行く南東に眼をやると、獅子戸岳、新燃岳、高千穂峰が縦列していて、絶景というにふさわしい。
韓国岳の火口のへりに沿って、歩を進めていく。3山縦列を見ながらの歩きは、実に爽快である。また、獅子戸岳の東側の大幡山への連なりも眼を楽しませてくれる。韓国岳を下っていくと、途中すべりやすく、かなり歩きにくい箇所があるが、やがて平坦になって、灌木の中を歩いて行く。初夏のうららかな感じが、とても心地良い。ほっこりとした心持ちになる。やがて、獅子戸岳にゆるやかに登っていく。振り返ると、韓国岳が美しい。獅子戸岳の頂上を少し過ぎ、下る手前の、眼前に新燃岳が見える所で、昼飯を食べる。火口から少し煙が立っている。獅子戸岳を下って、ゆるやかに新燃岳に登っていく。新燃岳の火口の底には、褐色の水が溜まっていて、その南側の淵から噴煙が立ち登っている。火口のへりを歩きながら、この荒々しい風景を愛でる。大阪に帰って新聞を見ると、この火口の話が取り上げられていた。今まで、この火口の水は、コバルトブルーだったらしい。ところが、この日の数日前に突然褐色に変わったそうだ。珍しい物が見れたと喜ぶべきかもしれないが、コバルトブルーは美しいだろうなあ。これは、噴火の前触れかもしれない。浅間山に登った時も、その半年後に噴火したしなあ。
下りにかかると、目の前には、中岳へと続く平原が広がっている。緩やかな下りと登りを快調に歩いて行く。中岳も火口なのだろうか、少し中央が凹んでいる。中岳頂上に来ると、鹿児島湾が見える。そして、その中央には、桜島が。そして、遠景であった高千穂峰が、今や眼前に聳えている。本当にこの霧島連峰縦走は、その景色が素晴らしい。一つ一つが素晴らしいうえ、実に変化に富んでいる。下りにかかると、緑の樹海が広がっている。その中に霧島神宮古宮址と高千穂河原が浮かんでいるのが、見える。急な下りを降りると、少し凹凸のある石畳の道を歩いて行く。足に衝撃があるので、石畳は厭なのだが、延々と続いている。一時間近く歩いて、やっと高千穂河原に着いた。
結構疲れた。休んでいると、もう3時前である。これから、高千穂峰に登るのかと思うと憂鬱になった。この時間から高千穂峰に登る人間はいないだろうなあ。しかし、ここであきらめるのもくやしいので、心を決める。トイレ脇の登り口から、入っていく。森の中を歩いて行き、そこを抜けると、ガレの急登が待っていた。ガレが深いので、踏ん張りが効かない。ずるずる滑る。所々岩場があるのだが、そこも歩きにくいのだ。これが200mぐらいの高さに渡って続く。本当に厭になった。こんなに歩きにくいところは、初めてだ。ガレを登りきると、御鉢である。赤土で荒涼としている。高千穂峰の断面に赤い褶曲が見られる。御鉢を下って、白い鳥居のある背門の丘について、一休みする。歩きやすいことを祈って、高千穂峰を登り始める。しかし、先ほどではないが、歩きにくいガレである。へとへとになって、頂上に辿り着く。石が積み上げられた上に、天の逆鉾が突き刺されていた。何を意味しているのか?座り込んで麓の方を、見ていると、雲の隙間から光が地上に差し込んでいる。神が降りてきてもいい風景だ。さあ、帰ろう。下っていく。御鉢を回って、あのガレの上に来た時は、うんざりした。案の定、下りもしんどかった。やっと下り、森を抜けて、霧島神宮古宮址に着いた。少し歩いて、やっと高千穂河原に着いた。もう6時前だった。
(コースタイム)
えびの高原9:15 → 10:35韓国岳10:50 → 12:05獅子戸岳12:30 → 1:10新燃岳1:15 → 中岳1:40 → 2:35高千穂河原2:50 → 3:50背門の丘3:55 → 4:15高千穂峰4:30 → 5:55高千穂河原
登りから韓国岳 韓国岳の火口
韓国岳頂上から大浪池 韓国岳頂上から獅子戸岳、新燃岳、高千穂峰
韓国岳と獅子戸岳の間の鞍部 獅子戸岳手前から大幡山、夷守岳
獅子戸岳頂上から新燃岳 新燃岳頂上手前から獅子戸岳、韓国岳
新燃岳火口 新燃岳頂上から中岳、高千穂峰
下りから古宮址 下りから高千穂峰
御鉢 御鉢から高千穂峰
御鉢から高千穂峰 頂上の天の逆鉾
頂上から中岳、新燃岳、獅子戸岳、韓国岳 頂上から桜島
頂上から南西 古宮址