ポーランド戦のMOMは、西野監督とGK川島。

 1次リーグ最終戦、H組首位の日本はグループリーグ突破をかけてポーランドと対戦、日本0-1ポーランドと負けたが、同じく負けたセネガルとフェアプレーポイントの差で、グループリーグ突破を成し遂げた。
勝負師・西野監督が、大博打を打って、それに勝ったという試合だった。
大昔、アトランタ五輪でブラジルに勝った時、「マイアミの奇跡」と呼ばれたが、今回の戦いは「ボルゴグラードの大博打」と呼ばれるのだろうか?
西野監督が焦点になる試合だったが、監督を含め、選手評価をしてみる。


出場メンバー。

 まず、西野監督。
セネガル戦から先発メンバーを何と6人も変えてきた。
35℃という酷暑を考えると、ベテランを変えたのは正しい判断だと思う。
自分も変えるべきと書いたが、6人も変えてきたのは、度胸がある。
遠藤保仁が西野監督は、勝っている時はメンバーを変えない人と語っていただけに、あまり変えないのかと思っていた。
各社スポーツ紙が大幅なメンバー変更があると事前に書いていたけど、東スポのいい加減なイメージがあって信じてなかったけど、案外信頼性があるんだな。
一番の驚きは、右サイドハーフに酒井高徳を使ったこと。
これは、守備の人間の高徳の起用はありえない、少なくとも後半初めから本田へ交代すべきだったと思うんだが、結局最後までピッチに置いた。
ただ、原口を休ませるのが前提だと、他には本田しか起用する選手がいないのも事実。 
守備を考えると、本田を使えないという判断なんだんだろうな。 それだけ、西野監督の意識がこの試合のプランとして、攻撃より守備に傾いていたのかもしれない。 引き分けでもいいと。

二つ目の驚きは、ポーランドに1点リードされたのにも関わらず、コロンビアが1点リードの情報が入ると、そのまま試合を終わらせる決断を下したということ。
まだ10分以上あって、セネガルが得点を取る可能性があって、そうなればGL敗退。
しかし、後半はポーランドにカウンターを喰らいまくっていたし、日本が点を取れそうな雰囲気がなかったのも事実。
普通、決死の攻撃に出れば、相手は受け身になるものだが、ポーランドはGL敗退が決まっていたので、受け身にならず、攻め合いになる。 そうなると、点を取られる確率が高かったと思う。 今、冷静に考えれば。
だから、西野監督は、長谷部の投入という形でこのまま終わらせるという明確なメッセージをチームに放ち、確実に試合を終わらせた。
一見大博打と見られるが、見事な確率の判断だったと思う。
日本が同点に追いつくより、セネガルが点を取れない方が確率が高いと。
西野監督が、「マイアミの奇跡」は奇跡ではなく、用意周到な準備の結果だと言うように、今回の件は、「ボルゴグラードの大博打」は博打ではなく、確率論だと、西野監督は言うだろうな。

 西野監督は勝負師だよ。 これほどの勝負師だとは思わなかった。 ガンバで見ていたけど。
レイソルといい、ガンバといい、長期政権でチームを育てるイメージがあったのに。
西野監督は、ハリルホジッチの解任を引き継いで、腹を括ったんだろうな。
だから、ブレない。 自分の決断を信じている。
チームジャパンで情報や考えを集結して、最後に西野監督が決断しているのかもしれない。 だから自信も持てる。
森保コーチや手倉森コーチという監督としても優秀な参謀もいるし。
WCが終われば、裏話が色々聞けるだろう。
それにしても、岡田元監督といい、西野監督といい、日本人監督は胆力がある。
物凄いリスクを取った、二つの決断を下して、グループリーグ突破という凄い結果を勝ち取った。
ボール保持で終わらせて、フェアじゃないという議論は問題外だな。 最初からそうなら大問題だが、最後の10分だからね。 それに、大リスクを抱えていた。 失敗に終われば、非難囂々の大リスクを抱えての決断。
本田圭佑の俺でも決断出来ないという発言は、その通り。
誰も出来ない。 それだけに、西野監督の決断は凄かった。
なので、MOMは、西野監督だな。

 選手では、GK川島。
3つのファインセーブをしてのけた。
前半32分、左ポスト内に飛んで来たヘディングシュートをゴールラインぎりぎりで弾きだしたスーパーセーブ。
後半8分、PA手前のスペースに出されたボールを判断良く飛び出し、相手が触る前に何とかセーブしたプレー。
そして、後半36分、ニアサイドで左足を出した槙野のクリアがゴールに飛んできたのをはじき出したプレー。
これまで2試合のミスを取り返す素晴らしいプレーだった。
心が折れなかったのは、さすがとしか言いようがない。
自分は、自信を持ってプレーできていないから、未来も考えて、中村航輔に変えるべきと書いたんだが。
西野監督は、23人の代表選考の時から、ベテランを信頼するという方針だった。
その方針がブレなかったとも言える。 そしてそれに選手が応えたということだね。
西野監督は、前日会見に川島を連れて行き、お前を使うよというメッセージを送っていた、それに当日のゲームキャプテンにも指名していた。 吉田麻也ではなかったのだ。 強烈なメッセージだな。
ハリルホジッチの時も、第3GKの立場からの抜擢に応えたことがあったし、逆境に強い男だよ。

 次は、柴崎だね。 攻撃のタクトは、受け手の動きが悪かったので、それほどではなかったが、守備でもボランチとして奮闘していた。 柴崎は、日本1-2ウクライナ戦から守備がぐっと良くなって、攻撃は本来の能力を発揮して、コンスタントにいいプレーが出来ている。

 宇佐美は、期待が大きいだけに、ダメだなあ。 悪くはないんだけど。 宇佐美はアシストかゴールを取らないとダメ。守備が良くないんだから。
武藤もダメだった。 酒井高徳もダメ。 右サイドハーフの起用が論外だったんだが。
槙野は、ぼちぼち。 岡崎は? 怪我は大丈夫なのかな?
山口蛍も、ぼちぼち。
6人は、誰も活躍しなかったな。 暑くてなかなかアグレッシブにプレーできなかったのかも知れないが。
終盤でバテるわけにもいかないからね。

ちなみに、ボルゴグラード・アリーナは、気温:36° C、湿度:24% だった。
WC予選の最終戦:日本vsサウジアラビ、気温:32.3℃、湿度:70%を4℃も上回る気温だった。

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