「宮川 香山」  ~大阪市立東洋陶磁美術館~

 大阪市立東洋陶磁美術館で 「特別展 没後100年 宮川 香山」を見てきた。

 初代宮川香山(1842~1916)は、京都から横浜に移って輸出用陶磁器の制作を行い、1876年(明治 9)のフィラデルフィア万博から次々に出品し、数多くの受賞を果たしました。
本展では、前期の「高浮彫」から後期の中国古陶磁と釉薬の研究による作品に至るまで、日本の近代陶芸を牽引した香山の全貌を、田邊哲人コレクションを中心に紹介します、とのこと。

宮川 香山 009 (640x480)
大阪中之島にある大阪市立東洋陶磁美術館。
ここは、東洋陶磁器の優品を蔵している。
ここは、2度目かな。

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 窓から見える新緑の堂島川が美しく見えた。

 まず、「高浮彫」の陶器が並んでいる。
これは金で表面を盛り上げる薩摩焼の技法を、金のかわりに精密な彫刻を掘り込むことで表現したものである。
まあ、薩摩焼の表面に動植物を貼り付けて、焼いた物だろう。

 途中、写真撮影Okのコーナーがあったので、その作品を掲載する。
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 こういう作品を見て、がっかりした。
超絶技巧なのだが、ごてごてしていて、美しくないのである。
美しい作品を作るための超絶技巧ではなく、単なる見世物になってしまっているのだ。

そんな中でも、78「上絵金彩帆立貝二魚蟹図花瓶」だけが、良かった。
2重の花瓶という超絶技巧でありながら、外側の花瓶が透かしで仲の花瓶が見え、外側の高浮彫の帆立貝が出しゃばらず、調和がとれているのである。

 落胆していると、後期の中国古陶磁と釉薬の研究による作品達が始まった。
一転、これらが美しいのである。
高浮彫みたいなごてごてした物ではないのである。
シンプルな中に、美しさがあった。
リアリスティックな高浮彫ではなく、デザイン的な文様を描いている。
88「釉裏紅氷裂梅花文花瓶」は、氷のひびと梅の花文をあしらっており、デザイン的に美しかった。
126「釉下彩紫百合図香炉」は、色は緑で、下すぼまりの丸い形で、その下に足がちょこっと出ている。
色と形が調和したとても美しい香炉である。
96「緑花紅花瓶」は、印象的な深緑で、そこに紅い斑紋が浮いている。その色がとても細い口とマッチしているのである。
109「青華紅彩桃樹文耳付花瓶」は、とても洗練された作品だ。
葉の青と抑えめの桃色が耳付の花瓶の形ととても調和している。
これら少し小ぶりな磁器群は、形と色が絶妙に調和していると感じさせられ、素晴らしかった。
高浮彫とは似ても似つかない、作品達だ。
これこそ、宮川 香山なのだろう。

 大きな磁器もあった。
まあまあ良かったが、小ぶりな作品みたいに絶妙という感じではなかったかな。

 最後に、
宮川 香山 (640x447)
重要文化財「褐釉高浮彫蟹花瓶」。
この写真は、後年蟹に色の釉薬をほどこして再度作った作品である。
ポストカードがこちらしかなかったので。
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こちらが、最初の重要文化財「褐釉高浮彫蟹花瓶」。
これは、ネットから拾ってきた。
こちらの方が荒々しくて断然良い。
器の形が荒々しいのだから、蟹の色も褐色のままの方がいいのである。
これは1881年の作品。
1882年から後期の中国古陶磁と釉薬の研究による作品達にとりかかるので、言わば高浮彫の集大成とも言うべき作品である。
さすがに、ごてごて感というより荒々しさを表現できていて、技巧が表現に活かされた見事な作品である。

 宮川 香山の陶磁器がどういう物だったか、全貌が知れて良かった。
形と色が絶妙に調和している小ぶりな磁器群が、特に素晴らしかった。

 付け足し。
宮川 香山を見終わった後、常設展示の東洋の陶磁器も展示されていた。
安宅コレクションの中国陶磁である。
逸品揃いだ。
さすがに、宮川 香山よりも一段も二段も上手であった。
 

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