佐川美術館開館で 「生誕110年 田中一村展」 を見てきた。
佐川美術館は、2回目。 とてもモダンな美術館。
建物の周囲に、水を配置する魁の美術館かな?
この美術館に来るまでに、琵琶湖の東湖岸沿いを走る「さざなみ街道」をドライブするんだけこど、この道がとても気持ちがいい。 「さざなみ街道」をドライブするのもここに来る魅力。
佐川美術館開館20周年記念の第二弾特別企画展。
田中一村の幼少期から青年期にかけての南画、南画との決別から新しい日本画への模索、そして奄美の情景を描いた作品まで、各時代の代表作を含む150点以上の作品を展示する。
田中一村は、NHKの日曜美術館で不遇の画家として取り上げられ、一躍有名になった。
自分も彼の奄美の絵に惹かれ、「奄美を描いた画家 田中一村展」~奄美群島日本復帰50周年記念~を、2004年に大丸ミュージアム・心斎橋で見た。
奄美の代表作「クワズイモとソテツ」「アダンの木」ほか、初公開作品98点を含む約130点(一部複製画を展示)で画業約60年のすべてを一堂に集めて展観し、奄美に生き、奄美を描きつづけ、奄美で逝った田中一村の美の世界に迫ります、という展覧会だった。
かなりの奄美時代の代表作を見たような気がするのだが、果たしてどうだったか?
はっきり覚えているのは、田中一村は決して不遇の画家ではないと思ったことだ。
奄美時代以前の絵は、それなりの絵に過ぎない。これじゃ大して評価されないと思った。
決死の覚悟で奄美に渡って描いた絵が素晴らしいのであって、それでは世間に知れ渡るのは死後になってしまう。
それは、しょうがない話だった。
本展を見ても、感想は変わらなかった。
田中一村は、奄美で良くなる。
田中一村は、南画でスタートする。
9歳で描いた「観瀑」が中断に儒者を描いていて、構図的に面白かった。
千葉時代に「忍冬に尾長」という絵を描いていて、これが後の奄美の絵に通じるような明確な花鳥画だった。
やはり奄美時代の絵が良かったが、傑作は、あまり展示されていなかったな。
これが名作。
田中一村の言葉、「奄美は曇天が多い。 乱立する夕雲と海岸の砂礫を描きたかった」そうだ。
なるほど、アダンに目が行くが、背景の波と砂礫は確かにいいね。