「芳年」 ~幕末の迫真を描いた浮世絵師~ *美術館「えき」KYOTO

 美術館「えき」KYOTOで「芳年~激動の時代を生きた鬼才浮世絵師」を見てきた。

 月岡芳年は、江戸から明治へと急激に変遷する時代に活躍した浮世絵師。
日本屈指の芳年コレクションとして知られる西井正氣氏所蔵の作品から、芳年の初期から晩年に至るまでの代表作を網羅した回顧展で、約130点が出展されている。

京都駅のこの階段からの眺めは、いつ見てもモダン。

 芳年は、12歳で歌川国芳に入門、15歳でデビューする。
国芳の弟子か。 月岡芳年と河鍋暁斎は、国芳の2大弟子だな。
初期は、国芳に似た感じを受けたが、幕末の頃には、独自の画風になっていた。
15歳のデビュー作からうまかった。
うまいなと思いつつも、驚いたのは、「魁題百撰相」からだ。
これは、彰義隊と官軍の実際の戦いを取材した後に描いた作品らしく、断然迫力がある。
★「駒木根八兵衛」

銃口をこちらに向けた構図は斬新で、何と言っても、彰義隊兵士の眼の迫力が凄い。

「魁題百撰相」以降の絵からは、俄然迫力を感じるようになった。

 無残絵と呼ばれる「英名二十八衆句」。
彰義隊と官軍の実際の戦いを見て、触発されて描いた絵だろう。
河鍋暁斎の無残絵も見たことがある。
平安の時代から、急転戦争があり、残酷な場面を実際に見て、画家達は驚きと共に描かずには、いられなかったのかな。
これらの絵は、リアリティを感じたが、そこまで称賛する気には、なれないなあ。

★「新撰東錦絵」 長庵札ノ辻ニテ弟ヲ殺害之図
背景の黒雲が、林と一体化したような省略した墨での描き方、リアルな細密画から省略の美へと変化が見られた絵だ。

 芳年の代表作は、何と言っても、「月百姿」だろう。
★「月百姿」 はかなしや波の下にも入ぬへし つきの都の人や見るとて 有子

月光を反射する波の描き方が、美しい。

 浮世絵の美人画は、どれも顔が同じに見えて、楽しめないなあ。

 さすが、芳年。
十分、絵を堪能できた展覧会だった。

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