京都市美術館で「マグリット展」を見て来た。
ルネ・マグリットは、ベルギーの国民的画家であり、20世紀美術を代表する芸術家。
マグリットの絵画は、画家自身の言葉によれば、「目に見える思考」であり、世界が本来持っている神秘(不思議)を描かれたイメージとして提示したものである。
今回、世界各地から約130作品が勢揃い。
初期から晩年まで、マグリット芸術の変遷と魅力をたっぷりと紹介します、とのこと。
ルーブル美術館展と同時開催になっていて、大きな美術館である。
マグリットの絵は、今までちらほら見て来たけど、まとまって見るのは初めて。
初期から晩年まで並べられていたので、全貌を知るには、良かった。
第1章:初期作品では、
★「心臓の代わりに薔薇を持つ女」が良かった。
手前に裸婦とベッドとカーテンを配して、部屋の奥行きを描いている構図が面白い。
第2章:シュルレアリスム
★ハゲタカの公園
黄色い空、黒い山、赤い地面、色の面の配置がいい。
中央の白い箱で囲まれた木は、なんだかな。
★天才の顔
キリコみたいな雰囲気の絵。
そういう絵の中では、これが一番見ていて面白かった。
★発見
裸婦の肌に木の年輪が刻まれている。
アイデアだけで成り立っているつまらない絵が多いのだが、これはアイデアが納得できる面白さ。
ただ、絵としては、どうかな。
★色彩の変化
ゼブラ模様の壁に、変形四角形の枠が配され、枕がある。
枠は2分され、黒と青空に浮かぶ白い雲が描かれている。
何を意図しているか、全然わからないし、知りたくもないが、視覚的に絵として面白い。
マグリットの絵は、意味深で絵的につまらない絵が多いが、たまにこういう見る絵としていい絵があるから、評価に迷う。
第3章:最初の達成
このコーナーが、本当のマグリットらしい絵なんだろう。
第4章:戦時と戦後
何を血迷ったのか、印象派風の明るい絵をこの時期には描いている。
戦争という暗い世相とは、逆の絵を描きたかったのか?
見てられない絵が多かった。
第5章:回帰
また、マグリットらしい絵に戻る。
★ゴルコンダ
アパートと空を背景に、紳士風の男達が空中に無数に浮かんでいる。
うっとうしいという気持ちになる。
紳士達はうっとうしいということかな。
★自然の驚異
これは、気味の悪い絵。
半魚人のカップルの石像が妙にリアルに生々しく描かれている。
諸星大二郎のマンガに出てきそうだ。
背景の海には、海を透かした帆船が浮いている。 そして青空に白い雲。
マグリットは、青空と白い雲が好きみたいだ。
★光の帝国Ⅱ
この絵はいいけど、何度か見たことがある。
何回見てもいいというほどの絵ではない。
期待してたほど、いい絵は少なかった。
意味深な絵が好きな人には、謎解きみたいで、いいんだろうけど。
自分は、マグリットらしい絵よりも、その前のシュルレアリスム時代の絵の方が好きだな。
絵として面白い。
マグリットらしい絵は、奇抜で最初に見た時には驚くかもしれないが、2度目には、面白くない。
ということは、アイデアだけで、絵としての魅力に乏しいということだろう。