兵庫県立美術館にフェルディナント・ ホドラー展を見に行った。
スイスを代表する画家、フェルディナント・ホドラー(1853-1918)は、個性的な群像表現による、装飾的かつ象徴主義的な作風によって、19世紀末から20世紀にかけてのいわゆる「世紀転換期」の時代が持つ不安に満ちた雰囲気を色濃く描き出しました。
本展では、スイス国内の美術館及び個人が所蔵するホドラーの代表的な油彩画、素描等あわせた総出品点数約90点により展観します、とのこと。
ホドラー展の垂れ幕。
★「マロニエの木々」
初期の風景画。 スペイン旅行での風景画が何点かあったけど、いいね。
「小さなプラタナス」「プティ・サレーブ山麓」とか。
何かがある、と思わせる。
単なる風景画ではなくて、何かが秘められている、そういう気にさせる。
次は、象徴主義者の自覚のコーナー。
★《傷ついた若者》
空はこの写真よりもっと金色だ。
細い金色の線で描かれた草が、繊細で惹きつけられる。
★ラルデの娘の肖像
微妙にくねらせた身体のライン。少しぼかして描いたボタン。
何のことはない絵のようだが、何かある。
踊る身体、動く感情のコーナー。
解説によると、身体の動きによって表わされる人間の感情、そして運動する身体が織りなす「リズム」の表現に向かいます。
ホドラーはまた、自然の世界にはさまざまな秩序が隠されており、とりわけ類似する形態の反復や、シンメトリーをなす構造がいたるところに存在すると考えていました。
彼はそれを「パラレリズム」(平行主義)と呼び、絵画のシステムとして応用していったのです。
★《感情Ⅲ》
装飾性が、クリムトを少し連想させる。
彼独特の絵と言えるかもしれないが、それがどうした、とも思ってしまう。
★「悦ばしき女」
絵は白い壁に掛けられているが、この絵と≪恍惚とした女≫は、赤い布を張った壁に掛けられ、絵の女性の赤いドレスと相まって、とても鮮やかに見えた。
学芸員さんのGJだね。
現代舞踏のような力強いポーズ。
変幻するアルプス―風景の抽象化のコーナー。
ここの絵は、すべて気に入らなかった。
理論ありきで絵を描いている。
作為的だ。
初期の「プティ・サレーブ山麓」の方が、ずっと良かった。
ホドラーは、壁画に打ち込んでいく。
ホドラーの代表作は、壁画になるのかも知れない。
ただ実物は見れないので、どんなものか、わからない。
下絵が今回見れたが、特に惹かれた訳ではなかった。
最後に晩年の絵の数々。
★「バラのある自画像」が、頑固そうな顔で面白かった。
★《白鳥のいるレマン湖とモンブラン》 も、味がある。
ホドラーは、多分初めて見た。
初期の絵の方が好きだな。
何かがある、そんな予感めいた物を感じさせてくれる。
手を広げたポーズの女性たちの絵も、訴えてくる物がある。
ただ、そんなに絶賛するほどではない、とも思う。