京都国立近代美術館で 「東山魁夷」展を見てきた。
東山魁夷の生誕110年を記念し、戦後の日本を代表する国民的画家と謳われた東山魁夷の画業を代表作でたどる展覧会。
本画は約70点と少なめだが、東山芸術の記念碑的大作「唐招提寺御影堂障壁画」が特別出品されている。
2004年の兵庫県立美術館で開催された「東山魁夷」展を見たことがある。
没後初めての総合的な回顧展で、「唐招提寺御影堂障壁画」を含む総数約90点の大回顧だった。
東山魁夷の全貌を堪能した記憶がある。
展覧会は下記の6章からなり、ジャンル別でしかも年代順になっていて、わかりやすい構成だった。
🔴1章 国民的風景画家
魁夷の風景画はいいね。 山に登るので分かるが、山はあんなに統一的に美しい訳ではない。 一部の美しい部分を全体に敷衍している。
★「雪降る」
見てとても寂しい風景だと思った。 何本かの木と手前に川そしてほとんど雪、こういう所にも美を見る画家なのだ。
🔴2章 北欧を描く
🔴3章 古都を描く・京都
★「月光」
竹林の竹が月光に向かって伸びている。 神秘的な美しさ。
★「曙」
山裾の連なり。 陰影のグラディエーションが美しい。 後の唐招提寺御影堂障壁画の「山雲」に繋がる。
★『京洛四季』習作
「北山初雪」と「年暮る」が美しい作品。
京都の絵は、比較的小画面が多かった。 そのせいもあってか、大画面の風景画に比べて、見劣りした。
魁夷の絵は、大画面の絵で風景の広がりを感じさせる絵がいいんだなあと思った。
🔴4章 古都を描く・ドイツ、オーストリア
都市の風景画は面白くない。 「緑のハイデルベルグ」のみ美しかった。
街並みまで緑に染まっているのが、美しかった。
🔴5章 唐招提寺御影堂障壁画
奈良の唐招提寺から受けた、開山・鑑真和上の像を安置する御影堂の障壁画。
《揚州薫風》《桂林月宵》《黄山暁雲》と水墨画が並ぶが、イマイチ。
水墨画というより、墨の黒を色として用いた絵だ。 輪郭線がない。 初めて水墨画を描いたということだからなあ。
日本の山を描いた《山雲》が、美しい。
水墨を離れて、青緑で描いている。 色数を出来るだけ少なくして、障壁画に相応しい絵にしている。
素晴らしい。 風景画の集大成のような貫録のある絵。
★《濤声》もいい。
色数を抑えて、同様に水墨画っぽくしている。
🔴6章 心を写す風景画
魁夷晩年の風景画。 絵に対して一種の悟りを開いた後の絵だそうだ。
★「行く秋」
これがとても美しかった。 初めて見たのもあって、感動はこの絵がベスト。
やっぱり、東山魁夷の絵はいいねえ。
14年ぶりに見た回顧展で記憶にある絵も多いけど、その分感動は少なくなるけど、以前とはまた違った美をみることになって、いい絵を見れた展覧会だった。