あべのハルカス美術館で 大妖怪展 土偶から妖怪ウォッチまで を見てきた。
「百鬼夜行」に描かれた妖怪たちの姿は、一見すると無気味ながら、実に愛らしさにあふれています。本展では、古くから日本で愛されてきた妖怪の表現の展開を、縄文時代の遮光器土偶から、平安・鎌倉時代の六道絵、辟邪絵、中世の絵巻、江戸時代の浮世絵、そして現代の妖怪ウォッチまで、国宝・重文を含む一級の美術品で紹介します、とのこと。
国宝・重文が多く展示されていて、意欲的な展覧会だった。
ここは、なかなかテーマを持って、いい展覧会をしている。
妖怪は、最初地獄絵での鬼や地獄に落とされて気持ち悪くなった人間が出発点ということのようだ。
そして、そこに付喪神(長い年月を経た道具などに神や精霊(霊魂)などが宿ったもの)や幽霊が加わって、多彩なものになってきたという感じだ。
妖怪画の出発点とも言える「百鬼夜行絵巻」でも、そこに描かれているのは、付喪神だった。
ろくろ首とかぬりかべとかそういう妖怪が主体だと何となく思っていたのだが。
最初、北斎や高井鴻山の妖怪図があったけど、イマイチだったな。
★岡義訓「化物婚礼絵巻」
これが、着色されているのもあってか、気に入った。
★百妖図 作者不詳 江戸時代
これは、絵的にも良かった。
雪女は、下半身が雪と化していて、傍らには、枯葉が描かれていて、美しかった。
幽霊画では、円山応挙のわりとはっきりと描かれた幽霊図もあったが、作者不詳の幕末~江戸の幽霊画がおどろおどろしかった。
全体が見えるかどうか、うっすらとしかもリアルに描かれていて、応挙の有名な幽霊画よりも幽霊らしいかな。
そして、錦絵の妖怪のコーナー。
ここでは、断トツに歌川国芳だな。
「俺たちの国芳 わたしの国貞」展で国芳に開眼して以来、国芳のファンだし。
その展覧会でも見た絵が多かったので、軽く見たけど、「化物忠臣蔵」が面白かった。
特に右の女将の大首絵と取りすがる白無垢の女は、諸星大二郎のマンガに出てきそうで笑った。
月岡 芳年とか河鍋暁斎の絵も良かった。
鳥山石燕「画図百鬼夜行」はイマイチだったな。
さて、伝土佐光信の「百鬼夜行絵巻」(室町時代・京都・真珠庵蔵)。
描かれているのは、妖怪といっても付喪神。
生き生きと描かれている。
これを出発点に後世広げられていったのは、わかる。
一番驚いたのは、「大織冠図屏風」(江戸時代 個人蔵)。
大織冠とは、中国から送られた宝珠が瀬戸内海で竜に奪われたのを残念に思った大織冠藤原鎌足が,海女と契ってその女に竜宮の宝珠を取返させるという玉取り伝説、とのこと。
大群衆図である。 すやり霞でわかりにくくなっている。
群衆が小さく描かれているので、わかりにくい。
わかりにくいのだが、凄くうまいのじゃないか、と思った。
作者不詳のようだが、名のある画家のように思われる。
個人蔵だから有名になってないだけで、かなりの作だ。
googleで検索しても画像は見つからなかったし。
最後、縄文の土偶と妖怪ウオッチのキャラが展示されていた。
ご愛敬というところだろう。