あべのハルカス美術館で、「円空 ―旅して、彫って、祈って―」を見てきた。
修行の旅に生涯を捧げ、人々のために祈りを込めて仏を彫った円空。生涯に12万体の神仏を彫る誓願を立てたといわれ、謎の多い一生ですが、その生きた証として、優しく微笑む観音像、迫力に満ちた護法神像など、今も5千体を超える神仏の像が伝わり、人々に愛されています。 本展では初期から晩年までの代表作により、創造の足跡をたどります、とのこと。
★「金剛力士立像」 千光寺
伴蒿蹊(ばんこうけい)の『近世畸人伝』で千光寺には「立ちながらの枯木をもて作れる」仁王があると記された像。
★「観音菩薩及び両脇侍立像」 埼玉・観音院
右手を胸上に上げている様が「よっ」と言っているみたいで、微笑んでいて、親しみが持てる像である。
★「不動明王及び二童子立像」 千光寺
これは、傑作。 不動明王は迫力があるし、右の童子も童子らしくかわいい。
★謎めいた像
狛犬や八大竜王や烏天狗や宇賀神、本当にそれらを彫った像なのか? 謎めいた像である。
まず、その異形が目に付く。 知識がないので何とも言えないが。
★「護法神立像」 千光寺
このトーテムポールのような細長い造形が面白い。
大木の生命感を感じさせるにはこの方がいいんじゃないかと思う。
展示の最後に、円空が最後に彫ったと言われる像、「十一面観音菩薩及び両脇侍立像」 高賀神社 があった。
にょろっと生えたような細長い像で、そのうねった立ち姿が何とも言えず良かった。 そのほほえみと共に。
★「大般若経」
円空が補修した大般若経が展示されていた。 経本の見返しに円空の絵が貼られている。
梅原猛の「歓喜する円空」でこの絵の変遷について長々と語られている。 その絵が見れて良かった。
梅原猛の本がなければ、展示されることはなかったであろう。
★ 「両面宿儺座像」 千光寺
本展で1、2を争う傑作。 迫力がある。 荒彫りが生み出す力なんだろう。
円空仏の魅力は、仏さんの微笑と迫力、両極端の素晴らしさにある。
あと、謎めいた像の不可思議さと。
円空の展覧会は過去にも見たことがある。 いつ、どこでというのは忘れたけど。
だから、驚きはないのだが、あと像の数と多様さも昔見た展覧会に比べれば少なく物足りなかったけれど、それでも円空仏を見れて良かったかな。