京都国立博物館で「海北友松」を見てきた。
海北友松(1533~1615)は狩野永徳や長谷川等伯と並び称される桃山画壇の巨匠。
近江浅井家の家臣の家に生まれた彼は、若年を東福寺で過ごしましたが、主家や兄が信長に滅ぼされるに及び、還俗して狩野派の門を敲き、画の道に進んだと伝えられています、とのこと。
桃山らしく、襖や屏風の大作が多かった。
山水、花鳥、雲竜図、中国物と多彩な絵が見れて、最後に幽玄の墨絵で締める、そして感動に襲われるはずだったのだが、イマイチ、ピンとこなかった。
正直、桃山画壇の巨匠か?というのが感想なんだが、自分の調子がイマイチだったのかもしれない。
★「松竹梅図襖」
鋭利な枝に緊迫感を感じるが、右隻が弱い。
この絵が一番かな。
しかし、迫力ある龍の顔以外は、曖昧模糊としている。 それが狙いかもしれないが。
★「檜図屏風」
自然に近い檜の描き方。
なんか、ず~っと消化不良が続いていた。
一見、良さ気に見えるのだが、こちらに響いて来る物がない。
そして、最後に
★「月下渓流図屏風」
(右隻)
長谷川等伯の《松林図屏風》を思わせる幽玄な絵。
本来なら、83歳の画家が最後に辿り着いた境地に感動する所なのだが、響いてこない。
右隻では、月下に淡く照らされた渓流。 傍らに松が佇んでいる。
左隻では、穏やかに川が流れ、梅と椿が花を添えている。
幽玄な雰囲気で、言葉にすると、如何にも良さそうな絵なのだが、響くものがない。
こればかりは、言葉で説明しようがない。
芸術は、感ずるものがあるかどうか、最後はそこに極まるから。
画面全体が白っぽすぎるのかな。
等伯の《松林図屏風》も、霧で白っぽいが、一番手前にある松は黒くしっかり描いている。
メリハリがない。
ということで、如何にも雰囲気のある良さそうな絵を描いているのだが、イマイチという残念な結果に終わった。