福井県の夜叉ヶ池から三周ヶ岳に登った。今庄ICで降り、林道終点の駐車スペースに車止めた。カツラの大木がある。鳥居をくぐり、沢沿いのゆるやかな道を登っていく。対岸の山肌の紅葉がとても美しい。真っ盛りだ。紅葉を眺めながらしばらく行くと、夜叉ヶ滝に出会う。さらにちょっと進むと、トチの大木がある。ここで、沢を離れ、尾根に向かっての登りとなる。少し勾配があるが、急坂でもない。前面に山並みが壁のように現われて、少し登ると、平坦になる。低木の林を抜けると、夜叉ヶ池に出た。山に抱かれた小さな池だ。開けていて、明るいせいか、伝説から抱く神秘的なイメージは少しもない。どうしてあんな竜神伝説が生まれたのであろう。浅くて、竜などいそうにない。けれどもこの開放感は良い。昼寝がしたくなるほどだ。池辺の低木に小さな鮮やかに青い実がなっていた。ナナカマドの赤い実は、よく見るが、これは初めてだ。後で調べると、サワフタギの実であることがわかった。
三周ヶ岳に向かい、池辺の木道を上がって峠に出ると、岐阜県側には、絶景の紅葉の谷が広がっていた。これには見とれてしまった。尾根を登っていく。ここからは尾根歩き。三つ並ぶピークの左端が三周ヶ岳だ。展望の良い尾根歩きで素晴らしい。しかし、夜叉ヶ池までの歩きやすい道と違い、丈の高いササが道にかぶさって、歩きにくい。所々で、ササが背丈くらいあり、掻き分ける感じになる。1時間ちょっとで三周ヶ岳頂上に着く。ちょっと広場になっているが、標識が三周ヶ岳と書かれた小さな板のみで、しょぼくて少しがっかりする。周囲は低木に囲まれているが、その上に四方にパノラマが開けている。郷能白山等々の山々が見えて、素晴らしい。昼食後、満足して戻ることにする。足元に気を付けながら、景色を楽しみながら、歩いていく。夜叉ヶ池に着くと、監視員らしきおっさんが池辺に寝転がっていた。最後の登山者である私を待っていたのだろうか、御苦労さんなことである。平日の金曜日というのに、ヤシャゲンゴロウを守るのも大変だ。少し休んで、来た道を戻る。しばらくすると、先ほどの監視員が降りてきた。ガサゴソ音がすると思ったら、登山道にある邪魔な石を谷に蹴落としながら降りている。こうやって、歩きやすい登山道を保っているのだなと感心した。歩きやすいので、十分紅葉を楽しむ余裕がある。4時ごろ、駐車場に着いた。靴を履き替えていると、おばちゃんに話しかけられた。話したくてたまらなかったのだろう。30分近く、山の話をした。
今日は、天気もはれて眺めも良い上、紅葉を十分楽しむことができ、満足のいく山登りであった。休暇をとった甲斐があった。紅葉のこの時期、インターネットによると土日は非常に混むみたいだったので、避けてよかった。今日は駐車場に車が4台のみであった。
写真は、尾根から見た三周ヶ岳。