大阪市立美術館に伝説の洋画家たち 二科100年展を見に行った。
二科展が今年で第100会を迎えるのを記念して、開催される展覧会。
多くの洋画の巨匠たちが二科展で画壇デビューしていて、しかも、今回展示する約120点の作品すべてが二科展出品作、というから面白い。
巨匠達の若かりし頃の作品や代表作や充実期の作品や駄作やら、いろいろで十分楽しめた。
大阪市立美術館。
★「海岸の牛」 坂本繁二郎
坂本繁二郎の絵は、ぼやけすぎて存在感がなくなる絵が多い。
この牛は存在感があった。
★「長野の近郊」 河野通勢
旭山と裾花川を描いた作品。
本展で一番好きな絵。
大画面で圧倒的な迫力あり。
中世の西欧画の雰囲気ながら、日本の香りがする。
うねるような大木が印象的。
それに呼応する空と雲もいい。
★「出獄の日のO氏」 林倭衛
この絵は、洲之内徹の『気まぐれ美術館』の中で見たことがある。
こんな所で実物を見れるとはなあ。
無政府主義者の大杉栄の肖像画。
浴衣姿の軽装だが、赤いバックが気骨を強調している、いい絵。
★「ブロンド」 藤川勇造
この人の名前は初めて知る。
正面から見ると幼い顔だが、横から見ると美しい女性。
★「酒売場」 長谷川利行
乱雑に描かれた中に美しさを感じる絵。
一目、長谷川利行とわかる。
★「踏切のある風景」 吉井淳二
この薄ぼけた色合い。
白と灰と白緑の色調、自分の好きなツボの絵。
★「新聞屋」 佐伯祐三
薄青の新聞棚。
店内の暗がり、白に浮く黒い文字。
佐伯らしい美しい絵。
★「幡ヶ谷風景」 山口薫
荒い筆致で塗りたくられながら、透明感のある美しさを醸し出している。
★「有島生馬像」 熊谷守一
逆の肖像よりはるかにいいね。
★「争える鹿」 向井潤吉
森の前の笹原。
濃密な草木の世界。
昔はこういう絵を描いていたんだ。
後の古い民家の絵より好きだなあ。
★「建物」 松本竣介
太い輪郭線。
フォーブ風ながら、かげりを感じさせる。
ポエジーでペシミスティック。