昨年10月の話だけど、伊丹市立美術館で 「並河靖之 七宝展」 ―明治七宝の誘惑・透明な黒の感性― を見てきた。
明治後期に活動した並河靖之(1845-1927)は、国内外の博覧会で数度受賞し、帝室技芸員にも選ばれ、欧米諸国でも高い評価を得た日本を代表する七宝作家。 並河の七宝作品や下絵、資料など約110点を一堂に集めた展覧会。
明治の究極技法を身に着けた芸術家の一人。
日曜美術館を見て、見てみたいと思っていた人。
花蝶文花瓶、蝶図瓢形花瓶がいい。
精緻な美。 細かい文様の集積が遠くから離れて見ても美しい。
背景が黒で味わいが深まっている。 究極技法の極みというものを感じた。
ベストな作品かな。
しかし、晩年の作品はおかしくなっていた。
「楼閣山水図香炉」では、水墨画のボカシような表現が用いられている。
晩年の新境地のような捉え方がされていたが、とんでもない。
晩年の作品の色合いはバタ臭くてダメ。風景もダメだ。 なんでこんなことになってしまったんだろう。