新印象派  ~あべのハルカス美術館~

 あべのハルカス美術館に 光と色のドラマ 「新印象派」を見に行った。

 ここは、今年2度目。
御堂筋線の天王寺の改札を出て、すぐ、あべのハルカスだ。
エレベーターで一挙に16階まで上がると、美術館がある。
中は、程よい大きさで、よくある、ぐるっと回り歩く構造になっている。
休む椅子が散らばして、多くあるのがいい。
外に出ると、テラスがあって、大阪のビル群を見晴らすことができて、気持ちがいい。

 今回の新印象派展、思っていた以上に良い展覧会だった。
本展のメインは、点描画である。
スーラ、シニャックの絵は、時々見かけていたが、まとめて見るのは、初めてだ。
数多くの点描画を見て、点描画について自分のイメージを持つことができた。
また、本展では、新印象派に関する歴史的エピソードとかがパネルで紹介されていて、説明が丁寧で多いという好印象を持った。

★最初にクロード・モネの絵が2点。
モネらしい、光り輝く青い海。
この絵で、光と色に対する感度が高められた。
この絵を最初に見たおかげで、あとで見る絵が、美しく見れたような気がする。

★スーラやシニャックを大いに支持したというピサロの庭の絵が2点。
いつもより美しく見える。
ギョマンの「ラペ河岸」もいい。

★スーラの《グランド・ジャット島の日曜日の午後》の習作、スーラが「クロクトン」と呼んでいた小さな板に描いた習作がいくつか並べられていた。
こういう幾つもの習作を描いて初めて、ああいう大作につながっていくのかと思うと感慨深い。

 点描は、フランスに留まらず、ベルギーやオランダの画家にも広がっていく。
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★マクシミリアン・リュスの「カマレの埠頭」
とても美しい気に入った絵。
夜の帷が落ちる前の夕暮れの浜。
黒々とした船の帆と浜の人だまりと、少し光る海の対比がとても美しい。

★ピサロが点描を試みた絵が2点並んでいた。
右の絵は生きているが、左の絵は死んでいる。
この違いは何だろうと思って、近づいてよく見ると、
右の生きている絵は、点が比較的大きいが、左の死んでいる絵は、点が小さい、いわゆる点描である。
点描画を見ていると、固まった絵、時が止まったような絵、という印象を持ってしまう。
小さな点だから、大きさや形が均質で、それが空間的にも時間的にも動きのない印象を与えるのだ。
色を変えても、ダメなのである。
今回、多くの点描を見て、発見したことである。

★シニャックの「ラ・ガルド・ゲラン岬」
アルベール・デュポワ=ピエの「白いドレスの女性」
シニャックの「髪を結う女性」
レイセルベルヘの「アンリ・ヴァン・ド・ヴェルド夫人」
の4点が並んでいた。
ここは、いい絵が並ぶ見所の一つだった。
 固まった、時が止まったような感じのため、何だか、おとぎ話の絵を見ているような気もしてくる。

★アシール・ロジェの「アストル夫人の肖像」
シックなオーソドックスな夫人の立ち姿なのだけれど、点描だとまた違った雰囲気になる。
それが面白いと言えば、面白い。

★マクシミリアン・リュスの「シャルルロワの工場」
丘の上から煙突の立ち並ぶ工場を見晴らす絵である。
点描では、珍しい力強い絵で、好きだな。

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★シニャックの「オンフールの港口」
これは、色彩の美しい、生き生きとした絵である。
この頃には、シニャックは、点描の点は大きくなり、点というよりタッチに近い。
だから、絵が生き生きとしている。

★シニャックの「ロッテルダム・蒸気」
船の蒸気、ゆらめく水面、かすむ街、光と動きがある。
もう点描というよりタッチに近い。

最後は、フォーヴィズムのコーナー。
新印象派が印象派をフォーヴィズムに繋いだと言いたいんだろうが。

★マティスの「日傘の女性」
点描だけど、点描でない。
空白を生かした、デザイン的に点が置かれた、センス溢れる一点。
こういう絵を見ると、マティスの図抜けたセンスを感じる。

最後に★アンリ=エドモンド・クロスの「裸婦習作」を紹介したい。
森の中の裸婦を描いた作品。
荒々しい筆致のフォーヴ的な作品。
しかし、なんとも色が美しい。
絵の具を塗りたくって、美しい。
小さな習作なだけに、とても欲しくなった。

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