あべのハルカス美術館で「ギュスターヴ・モロー展」~サロメと宿命の女たち~ を見てきた。
19世紀末フランスに花開いた象徴主義の巨匠、ギュスターヴ・モロー(1826-1898)は、神話や聖書をテーマにした魅惑的な女性像を描いた。 ギュスターヴ・モロー美術館の所蔵品から紹介する展覧会。
パリに隠棲する神秘主義者と呼ばれていたらしい。 そういう画家で、ほとんど神話や聖書をテーマにした絵だった。
唯一、母親と恋人の肖像は描いた。
母親とはとても仲が良く、終生一緒に暮らした。 結婚はしてないが、恋人もいた。
愛する彼女らに先立たれ、絶望の中で描いた絵が、これ。
この重厚な絵に惹かれた。
タッチが荒々しい。
「洗礼者聖ヨハネの斬首」と「サロメ」の絵が多数続く。
少女サロメが、祝宴での舞踏の褒美として洗礼者聖ヨハネの首を求めたため、処刑されたという聖書の物語を描いた絵。 その総決算が「出現」
サロメの指さす中空にヨハネの首が浮かんでいる絵。
色彩的な陰影に富んでいる。
背景の白い描線が古代のレリーフを想起させる描き方で、とても印象的だった。
★「セイレーンと詩人」
背景が様々な絵の具の垂れ流しみたいに描かれていた。
ラファエル前派みたいな精緻な絵のイメージがあったのだが、案外荒々しいタッチで描かれていた。
そういう所が、絵のテーマは古臭くても、マティスとルオーという2人の画家を育てた元になっているのかもしれない。