「没後130年 河鍋暁斎」 ~絵の虫~ * 兵庫県立美術館

 兵庫県立美術館で「没後130年 河鍋暁斎」を見てきた。

暁斎が描いた屏風、掛軸、絵馬、引き幕といった多彩な作品群、そして下絵や写生、あわせておよそ200点を展示。

 11年前の2008年、京都国立博物館で河鍋暁斎の大回顧展・「絵画の冒険者 暁斎 Kyosai」展を見た。
京博の‘00の若冲、雪舟、蕭白、永徳に続く一連の日本の実力画家シリーズで、河鍋暁斎の画業を見渡せる凄い展覧会だった。
その時、度肝を抜かれたのが、下の「新富座妖怪引幕」だ。

「役者たちを妖怪に見立てて描いているのだが、妖怪らしいし、役者の特徴を実に良く捕らえているような感じがするし、ユーモアがある。引幕なので幅が17mもあり、迫力がある。一気呵成に描かれたような勢いがありながら、実に絵として全体のバランスもとれていて、素晴らしい。これを4時間で書き上げたのが信じられない。」と当時書いた。

大英博物館で、日本国外では最大のマンガ展「The Citi exhibition Manga」展が2019年5月23日〜8月26日に開催される。
手塚治虫、鳥山明、尾田栄一郎等のマンガと共に、この「新富座妖怪引幕」も展示されるそうだ。
イギリス人もこの絵には度肝を抜かれるだろう。
だから、この写真は、複製。 本物は今はイギリスに行っている。

★海藻問屋図
昆布問屋の片山商店の作業風景を描いた大作。
160人もの人が作業しているのが、生き生きと描かれている。
これは初めて見た。 素晴らしい。

第2章は、写生のコーナーで、暁斎の写生画多数展示されていた。
良かった。 「地獄極楽めぐり図」の下絵は、昔見た本絵より好きだな。
暁斎の写生は、実物を見ながら描くのではなく、記憶してから画室で描いたそうだ。
記憶が薄れたら、また実物を見て、そして記憶で描く。
これは、対象を自分の中に入れて、自分の物にして描くということだろうな。
自分には、正しい写生の在り方のように思われる。
自分は、写生や下絵が好きだ。
なぜ好きなのだろうと考えてみると、それは絵が生き生きしているからだと思う。
それは、画家が初めて描く感動が表れているからだと思う。
本絵を描くとなると、感動は整理されて薄まるので、生命感が薄れるのだと思う。
だから、しばしば本絵より下絵の方がいいということが起こるのだと思う。

★盲人百態図鑑
盲人たちの行為を絵巻物に仕立てている絵。
特にいいわけではなかったが、なぜ描いたんだろうと思う。
色々なものに興味を抱き、描いたのかな。

★眠龍図
龍が水の中で眠っている珍しい絵。
水面に波紋が立っている様が風情があっていい。

★美女の裾を引く骸骨たち

あまり気に入ったポストカードが売っていなかった。

暁斎の年表を見ていたら、鈴木其一の次女と結婚と書かれていて、驚いた。
若くして先に死なれたみたいだが。

暁斎は晩年日課として、観音図を描いていた。
明治前半、観音図が世間広くよく描かれていたそうだ。 初めて知って面白く思った。

暁斎は、本当に絵を描くことが好きで、絵に生きた画家だなと思った。
2008年の展覧会「絵画の冒険者 暁斎 Kyosai」に比べれば、代表作は少なかったかな。

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