大阪市立美術館で 土佐光起 生誕 400年「近世やまと絵の開花」―和のエレガンス― を見てきた。
日本の伝統的な絵画様式「やまと絵」。 その主流は土佐派。
桃山時代の土佐派は劣勢となるが、江戸時代になって土佐光起が狩野派など漢画系流派の水墨表現や中国絵画の写実表現を巧みに取り入れてやまと絵の画題を一気に拡大し、幕末まで続く流派体制を整備、復興させた。
その光起をメインに紹介した展覧会。
最初の大部屋で、見ている時は、やまと絵というより、普通の水墨画だなと思った。
うまいけど。
しかし、真価を発揮しているのは、やっぱりやまと絵の絵巻物だった。
★土佐光起 「春秋草花図下絵 三十六歌仙図色紙貼交屏風」
これは、琳派の絵だと思った。
紅白の小さな花が流れるように並んでいる。 傍らに川が流れている。 そういう美しい金屏風。
調べてみると、尾形光琳とほぼ同時代人だった。
さて、どちらが先に描き、そしてお互いに見たことがあるのか? 興味がある。
そして何より新しいのが、36歌仙の人物像の色紙が貼り絵されていることだ。 驚くことに違和感を感じさせることなしに。
この絵を見て、ぐっと土佐光起って、いい画家なんじゃないか、と思った。
★源氏物語図色紙貼交屏風 土佐派 斎宮歴史博物館 17世紀前半
これも素晴らしかった。 源氏物語絵巻を切り分割して、屏風に貼っている。
文章と絵の色紙が交互に貼られている。
文章の色紙は、背景のデザインがまさに琳派で美しい。
本阿弥光悦と俵屋宗達の合作、数々の下絵和歌巻と類似の美しさを持っている。
こちらも、光悦・宗達と同時代の作品だ。 面白い。
★「源氏物語絵巻」 土佐光起
「胡蝶」が美しい。
天使のような羽根をした8人の踊り手が舞楽を舞っている。
たま~に見る主題なのだが、何なのだろう。
調べてみると、胡蝶は蝶をモチーフにした舞楽。
あの羽根は蝶の羽根なのか。