将棋の第62期王座戦五番勝負で、羽生王座が挑戦者の豊島七段に勝ち、3勝2敗で防衛した。
羽生名人2連勝で楽勝かと思いきや、2連敗してタイ。
先月、竜王挑戦者決定戦で関西若手の糸谷6段に負けていただけに、一転やばい雰囲気になっていたのだが。
決着の第5戦だが、横歩取りの戦いから、中盤にうまい攻めで、盤上右辺を制圧、羽生名人がリード。
右辺から、一転、左辺の端歩から羽生名人が攻め出す。
完勝かと思いきや、大胆な龍切りで、踏み込む。
安全勝ちなどしない。
俄然、ネットや解説が盛り上がり始める。
やり過ぎで、互角に近づいたのでは、という評価。
龍切りに続いて、銀捨て、歩の成り捨て、そして再度の歩打ち、全て同玉なので、豊島七段の玉が、同じ所をくるくる動いて、ダンスしている。
最後の歩は、取らなかったが。
そして、豊島玉の左側を封じた後、右側の角切りから、決着を付けた。
解説の阿久津八段も、詰めが読めない。
東京将棋会館での大盤解説で、渡辺2冠も驚いていたらしい。
そして、渡辺2冠の解説の中身が凄かったらしいが。
もうニコニコ動画が、凄く盛り上がっていたらしい。
歩の成り捨てで、羽生名人の手が震えて、駒が乱れる。
勝利を確信した時、羽生名人の手が震える、という伝説が出た。
ここから、まだまだ戦いが続くというのに。
早くも、本局が、今年の名局賞の候補の声が上がっている。
将棋ソフト・ポナンザの開発者、山本一成氏が、本局の観戦記を書く事になっているらしい。
ポナンザで本局を解析しながら見ていた山本一成氏が、ポナンザの評価値が揺れ動くので、どう観戦記を書いたらいいんだと、twitterでぼやいていたよう。
それで、ネットでは、山本一成氏が観戦記を書く事を知った、羽生名人がわざとソフトも読めないような、詰みに踏み込んだのでは、という話まで出る始末。
もう観戦者大盛り上がりの伝説の一戦となった。
羽生名人は、単に勝つだけではない。
観戦者を魅せて、勝つ。
長嶋茂雄みたいな所がある。
いや、羽生名人はただ将棋の真理を追求しているだけで、その結果劇的な将棋になり、我々が魅せられているだけで、観戦者を意識しているわけではない、とも思われる。
それぐらい、羽生名人は深いところがある。
これで、羽生名人が持つ歴代最多の全タイトル獲得数は90期に達した。
100期と永世7冠、どちらを先に実現するのだろうか?