奈良国立博物館に「白鳳」展を見に行った。
飛鳥、白鳳、天平と、実に響きのいい言葉。
白鳳とは、7世紀の半ばから710年平城京遷都までの間の文化や時代を指す言葉。
天智天皇、天武天皇のまさに天皇を中心とした国作りが本格化した時代。
白鳳美術の魅力は金銅仏に代表される白鳳仏にあると言って良いそうだ。
8年前に、ここで、美麗「院政期の絵画」展を見たことがあった。
あの時は、出展125件のうち国宝49件、重文57件で、ほとんどが名品という豪華さで、物凄い展覧会だった。
そこまではいかないだろうけど、大いに期待していた。
★菩薩半跏像 東京国立博物館(法隆寺献納宝物)
極端に細い胴と箱みたいな台座が目立つ。
横から見て、前傾の角度が丁度いいのが好み。
★観音菩薩立像 兵庫・鶴林寺
細い胴。 これが白鳳時代の特徴の一つかな?
耳上から垂れ下がる流麗な衣と体のラインが調和している。
★聖観世音菩薩立像 奈良・薬師寺
青年みたいな顔、少したくましい胸。 人間に近い仏像。
これが、白鳳様式の掉尾を飾る名作か。
江戸時代のように見える。 これが国宝か。
★菩薩立像 滋賀・石山寺
この像には、顔がない。
1948年盗難に遭い、その後、首以下の胴体部分のみが発見された。切断された頭部は行方不明である、とのこと。
隣に顔ありの写真があった。
なんとも言えないやさしげな微笑みを浮かべていた。
なんてことをしてくれるんだ。
この微笑みは、絶品である。
写真だけなので何とも言えないが、日本最高の微笑みだったかもしれない。
★伝虚空蔵菩薩立像 奈良・法輪寺
クスノキの一木造り。
素朴な顔と姿。
★阿弥陀三尊像(伝橘夫人念持仏)及び厨子 奈良・法隆寺
これは、三尊像と厨子と後ろ屏が別々に展示されていた。
そして、後ろ屏に猛烈に魅かれた。
蓮に座る4体の化生菩薩。
ゆらゆらと立ち上がる衣の裾と蓮の茎。
何とも言えない流れるような美しいラインなのである。
★持国天立像 奈良・當麻寺
中国の武将を思わせる圧倒的な写実の美。
白鳳時代の仏さん達を見て思ったのは、顔が実に色々で、人の顔のように色々だなあ、という印象を持った。
まだ仏像の黎明期なので、人の顔からイメージして作ったために、そうなったのだろうか?
あと、仏像は、金銅仏より木造の方がいいなあ、と思った。
金銅仏は冷たい印象をもってしまう。
古い味わいも薄れてしまうし。
そうは言っても、見ごたえのある展覧会であった。