奈良国立博物館で1000年忌特別展「源信 地獄・極楽への扉」を見てきた。
源信は浄土信仰を広めた僧。
源信は「往生要集」で、地獄極楽の様子を具体的に描き、極楽浄土へ行く方法についても書いた。
その影響で地獄絵を含む六道絵や阿弥陀来迎図の名品が数多く生まれた。
それらを含む源信にちなむ作品が約140点(うち国宝約30点、重要文化財約65点)展示された、見応えのある展覧会だった。
★性空上人像(伝増賀上人像) 奈良 談山神社
書に見入る僧の顔が独得。 なかなかいい絵。
★国宝 「一遍聖絵」 鎌倉時代 東京国立博物館
今まで、一遍上人の絵巻物はちらほら見たことがあったけど、どれもいただけなかった。
しかし、この東京国立博物館の「一遍聖絵」は、素晴らしい。
日本四大絵巻に次ぐよ。
さて、本展の一番だったのは、滋賀・聖衆来迎寺の「六道絵」
六道の様子を描いた15幅よりなる。
ガラス越しでは、細かい所までわからない。 単眼鏡を持ってくるのを忘れたのは失敗だった。
地獄の様子が活写されていて、素晴らしい絵達だった。
★「六道絵・人道不浄相」 滋賀・聖衆来迎寺
中でもこの絵は逸品。
人道不浄相、九相図とは、屋外にうち捨てられた死体が朽ちていく経過を九段階にわけて描いた仏教絵画。
修行僧の悟りの妨げとなる煩悩を払い、現世の肉体を不浄なもの・無常なものと知るための修行に用いたそうだ。
九相図を初めて見たのは、河鍋暁斎の『九相図』、実際に見たに違いないと思わせるリアリティがあり、凄味があった。
美しい四季の移り変わりと共に描かれていて、美しいとさえ言える作品。
前期展示(7/15~8/6)だから、早目に行かないと。
★「二十五菩薩坐像」 平安時代 京都 即成院
平安らしく優美な彫刻。 本堂での写真も掲載されていたけど、阿弥陀如来の周囲に様々な姿態をした二十五もの菩薩坐像があるのは、圧巻でとても美しい。 そこで見てみたいものだ。
★阿弥陀聖衆来迎図(早来迎) 鎌倉時代 京都 知恩院
国宝。 何度か見たことがある。
険しい山々に桜がちらほら咲いている。
その山々を乗り越えて、阿弥陀達が来迎してくる。 ダイナミックで美しい。