奈良国立博物館で「国宝の殿堂 藤田美術館展」を見てきた。
藤田美術館は、国宝9件、重要文化財53件を含む世界屈指の日本・東洋美術のコレクションを所蔵する美術館。そのコレクションを紹介する展覧会。 世界に三碗しか存在しないと言われる国宝「曜変天目茶碗」が目玉。
明治期に活躍した実業家・藤田傳三郎(ふじたでんざぶろう)(1841~1912)は、膨大な私財を投じて、近代以降散逸の危機にあった文化財を収集し、国宝の殿堂と呼ぶにふさわしいコレクションを築いた。 彼とその息子平太郎、徳次郎兄弟の二代3人によって収集された美術工芸品を公開するため、昭和29年(1954)に藤田美術館展は開館した。
とは言え、あまり期待していなかった。
★国宝「曜変天目茶碗」
長い列が出来ていて、並ぶ気になれなかった。
後ろから見た。
先月、大徳寺龍光院の曜変天目を見たばかり。
これで、世界に三碗しか存在しないと言われる「曜変天目茶碗」の二つを立て続けに見たことになる。
まあ、美しいが。
この絵巻に驚いた。
物凄く繊細な絵だ。
まず、線が繊細。 女性の黒髪の細い線など、神経が行き届いて、揺らぎが全くない。
曲線も、見ていて美しいなあと感じさせる。
薄塗りの色も繊細。
女性的な美しさに溢れた作品だ。
平安時代の作かと思ったら、鎌倉時代の作だった。 とても意外。 こんなに女性的なのに。
まだ、国宝「源氏物語絵巻」(「隆能源氏」)を見たことがなくて、今まで宮廷絵巻で感心する絵巻は見たことなかったのだけど、この絵巻は素晴らしいよ。
★国宝 「玄奘三蔵絵」
岩山が酷い。 完全に形が形骸化していて、現実離れしているし、デザイン的な視点で見ても悪い。
人も生き生きとしていないし。 これが国宝なのかな。
★净土五祖絵
葉の色の塗り方が、ざっくりしていて、近代的な感じがして面白い。
★八大龍王尊像
白と黒が織りなす迫力。 逸品だと思う。
★當麻曼荼羅
絵として、とても美しいと思う。
★十六羅漢図 伝顏輝筆
これは、力のある絵。
★刺繡天人幡残關( 古代裂帖)
飛鳥時代の作だよ。
見ていて、ちょっと棟方 志功を連想した。
何とも古風な絵柄なのだが、力強さがある。
★花鳥海賦文社於花染残關(古代裂帖)
ぬいじめ絞りというものらしいが、色の味わいが何とも渋い。
布地の質感が、うっとりするくらい素晴らしい。
見てると、いいな、いいなと思わずにはいられない。
それにしても、国宝・重文にとどまらず、いい作品が多いなあと思った。
とても審美眼があったのだなあと感心する。
藤田美術館って凄かったんだなあ。 一度も行ったことがないんだけど。