大阪市立美術館にシカゴウェストンコレクション 「肉筆浮世絵」-美の競艶- を見に行った。
江戸初期から明治にかけての肉筆浮世絵を時代順に網羅した、なかなかの展覧会だった。
約130点の展示で、お腹いっぱいになって、疲れた。
浮世絵版画は大好きだが、肉筆浮世絵は、たとえ北斎の作品であっても、好きな絵に出会ったことがない。
今回でも、初期の肉筆浮世絵は、気に入ることがあったのだが、北斎とかの浮世絵全盛期になると、むしろ肉筆浮世絵は好きになれなかった。
今まで、浮世絵全盛期の肉筆浮世絵を見ることが多かったので、好きになれなかったのだ、と納得した。
★「扇舞美人図」 無款 寛文年間
舞姿といい、着物といい、美しい作品。
それにしても、なんと大胆なデザインの着物だろう。
大きな花柄を大胆に配している。
しかし、それが目立ちすぎないよう肩の上とか裾に配している。
江戸の人は、本当にこんな大胆なデザインの着物を普段着ていたのだろうか、と思ってしまう。
当時、どれだけモダンだったのか。
★「遊女と禿の羽根突き図」 古山師政
きりっとした顔立ち。
暖簾の質感、竹の渋さ、大胆な肥痩のある衣紋線。
いい絵。
★「髷を直す美人」 西川祐信
夏の薄着に透ける体のライン。
白帯の強い線が目に付く。
★「梅下遊女と禿図」 宮川長春
あらゆる意味で洗練されている。
★「琉球人舞楽之図」 宮川長春
中央の踊り手と囲む楽士の構図が素晴らしい。
絶妙な色合いも。
★「大原女図」 藤麿
少年のようなすらっとした立ち姿。
眼が何とも言えない。
独特な美しさがある。
★「雪中常盤図」 蹄斎北馬
北斎の弟子だそうだ。
いい絵。
浮世絵で活躍した絵師の肉筆画が、どこかどぎつい。
そこが好きになれない所。
しかし、江戸初期の肉筆浮世絵は、より桃山の日本画に近いのかもしれない。
それで、いいと思うのかも。