トランプを支持した「負け犬白人」たち。

 なぜトランプが大統領に選ばれたのか?その解説は色々あるだろうけど、とても面白くて、深いなあという記事を見つけたので、紹介。
「日本人がまったく知らないアメリカの「負け犬白人」たち」という記事
イギリスの右派党首がこう言ったそうだ。
「負け犬たち(underdogs)が支配者層(the establishment)を打ち負かしたのだ」
確かに、製造業の工場が海外に出たのと移民という安い労働力が入ってきたために、失業したり賃金が下がった白人がトランプを選んだというのは、よくわかる話。
しかし、もっと泥臭い白人たちがいて、彼らがアメリカの文化の根底を担ってきて、それが表出したのだと、この記事は言う。

 アメリカの東部のアパラチア山脈、その山中に住み着いた「スコッチ・アイリッシュ」の人々がまず「ヒルビリー」と呼ばれた。
「田舎っぺ」とでも言うべき彼らは、粗野で独特な生活をしていた。
彼らは、その後ステレオタイプ化され、「悪いヒルビリー」は「ホワイト・トラッシュ(クズ白人)」と呼ばれるようになる。
それが映画で描かれたのが、『悪魔のいけにえ』だそうだ。
アメリカ映画では、都会の殺人鬼と田舎の殺人鬼がいる。
田舎の殺人鬼は、クズ白人で「発展から置いていかれた」田舎者というモデルがあったのだ。

 しかし、「ヒルビリー」はそんなことだけにとどまらない。
音楽好きだった「ヒルビリー」の音楽が、今「カントリー」と呼ばれる音楽になっている。
アメリカでは、音楽産業のなかで、とにかくこのカントリーが占める割合が大きい。
カントリーのシンガー・ソングライターのガース・ブルックスは、アルバムの売り上げ単位で見た場合、ソロ歌手としてはアメリカの歴史上最強、エルヴィスにもマイケル・ジャクソンにも完全に勝っている。なんと1億3800万枚を「国内だけで(!)」売り切っている。彼の上にいるのは(グループだが)ビートルズだけ。
z
これは知らなかった。
アメリカでは、カントリーが一番人気のある音楽だったとは。
カントリーと言えば、人の良さそうな田舎者と言う感じのジョン・デンバーしか知らない。
日本の演歌みたいなものなんだろう。 今でも生きている演歌。

そして、前述の「白い負け犬」とされるような人々の、日々の生活に、いや人生の全域に、つねに寄り添い、魂とともに浮かんでは沈んでいくものもまた当然、綺羅星のごときカントリー・ソングの数々だった。トラック運転手の孤独も、バーの女の心意気も、都会暮らしから故郷の大平原を思う気持ちも、みんなカントリーの歌になった。

この記事の文章はいいねえ。

 そして、カントリー界のスターには、早い時点から堂々と「トランプ支持」を表明している人も多かったらしい。
「彼は誰にも、何にも縛られない大統領になれる」と。
「何にも縛られない」それが、アメリカ人には、とても大きな価値観なのかも知れない。
日本人は「協調」あるいは「和」だろうな。

 トランプは、金持で成功者だから、自分にはestablishmentに思えるのだが、彼の粗野な言動は、アメリカ人にとっては、ヒルビリー的なんだろう。

 トランプ大統領の誕生は、単に「負け犬白人」たちが選んだだけでなく、多くのアメリカ人の根底にある粗野でヒルビリー的な文化が生んだんだろう。
閉塞感のある今、アメリカ人の根源的な物が表出してきたのかも知れない。
銃社会もヒルビリーとつなっがっているような気がする。
カントリーがアメリカ人の魂の歌なんだから。

 最後に記事の著者は、日本も同じだと書いてるけど、見当外れだね。
なぜ、彼が見当外れのことを言うのかも良くわかる。
彼は、ヒルビリーに憧れながら、それが招く結末を必死になって否定しようとしている。

スポンサーリンク
スポンサーリンク
「関連コンテンツとスポンサーリンク」

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする