王座戦 第1局 羽生王座が佐藤天彦八段の執拗な攻めを凌いで、華麗に詰ます。

 将棋 第63期王座戦五番勝負 第1局 羽生善治王座 vs 佐藤天彦八段が行われた。
羽生4冠は、今年名人戦で行方八段、棋聖戦で豊島七段、王位戦で広瀬八段を破り、今年最後の防衛戦で、最大の難敵になりそう。
佐藤天彦八段は、去年から急激に力を付け、今年20勝4敗で勝率0.833。
A級順位戦でも3戦全勝と絶好調。
今、一番勢いに乗っている棋士。
得意戦法を持ち、先手角換わり、後手横歩取りで勝ちまくっている。
豊島七段や森内九段が、佐藤天彦八段の横歩を避けるぐらいだから、相当なもの。
しかし羽生4冠は、相手の得意戦法を堂々と受けるから、楽しみ。

 渡辺棋王も現地に見学に来たぐらいの注目の一戦。
日経新聞で特集記事が掲載されてて、大いに盛り上げてくれる。
渡辺棋王と村山慈明七段の2人がインタビューに答えている。

――佐藤はかつて、羽生を「神」と呼んでいたそうだが。

 渡辺 ここ数年は聞いた記憶がない。今はあこがれという意識ではないだろう。今回、最近の成績だけ見れば勝機十分だが、そう簡単ではない。「羽生と戦えるだけで満足」となるか、自分が羽生に勝つとイメージできるか。

 ――勝敗予想は。

 渡辺 3―2で奪取と予想する。今の佐藤ほどの勝ちっぷりは他の人を含めてもあまり記憶にない。ここまで勝ってタイトルを取れないのは酷なくらいだ。初挑戦で緊張するだろうが、ぽっと出の新人ではないので大丈夫。羽生も今回は力が入るだろう。防衛すれば「こんなに勝っても羽生には勝てないのか」と知らしめることになる。

 相変わらず、渡辺棋王のあけすけなしゃべりっぷり。
盛り上げるに十分。

 さて、 第1局いきなり佐藤八段の後手で、待望の横歩取りになった。
序盤の▲1七桂が、羽生王座の用意の一手か?
途中から佐藤八段の攻め一方、羽生王座の受けが続いた。
横歩取りは、玉が薄いので、先手陣がいつ食い破られてもおかしくない緊迫の状態が続く。
佐藤八段は、こんなに攻めがうまかったかな、というぐらい執拗に攻めてきた。
しかし、羽生王座は凌ぐ。
羽生王座の受け将棋を見るのは、久しぶり。
森内九段の鉄板の受けとは異なり、凌いでいくという感じ。

 そしておもむろに反撃。
最後、泥臭い勝ちになりそうだったが、2枚竜を使って、1枚はただ捨てで、相手玉を華麗に詰ませた。
解説の先崎九段も見つけられなかった華麗な詰め。
こういう勝ち方を見せてくれる所が、羽生ファンがぞっこんになる由縁。
見てて面白かった。

 それにしても、佐藤八段のショックは大きいだろう。
得意の後手横歩取りで負けた上、華麗に詰まされた。
実力の違いを見せつけられたような感じになる。
接戦なのだが。
気持ちを切り替えられるかどうかが、今後を左右しそうだ。

 最後、リップクリームを唇に塗ってから、投了を告げたのには笑った。
さすが「貴族」と呼ばれるだけのことはある。

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