国宝・旧閑谷学校の奇跡。

 テレビ東京で土曜夜、「美の巨人たち」という番組をやっている。
絵などの一つの美術品について、30分間で掘り下げる番組。
2000年放送開始で、初回からかかさず見ている。
もう17年になるのか。 長寿番組だなあ。 よく続いているよ。
それだけ見ている人がいるというのが驚き。 日本人は絵好きなんだね。

 この番組は、本当に感心していて、毎回趣向を凝らしている。
小芝居が入るのだが、それがいい。
最近では、「国宝タクシー」、「モデュロール兄弟」、「絵画警察」とか面白いキャラクター達が出てくる。 そのアイデアが面白いんだなあ。
ディレクター達には、とても才能を感じる。 感心する。
17年続けていても、飽きさせないんだから。

 さて、この前、国宝シリーズ④ 津田永忠「閑谷学校・講堂」を見た。

岡山にある江戸時代に建てられた学校。
古い学校程度の知識しかなかったのだが、ここの講堂が画期的な工夫を凝らした建築物だと知って驚いた。

 まず、中の92坪ある総床板張りの大広間が、ほとんど掃除もしないのに、ピカピカに黒く光り輝いている。 磨き込まれているからかな、と思っていたのだが、そうじゃない。

屋根に工夫がしてある。
普通、瓦は、屋根板に壁土を使って固定している。 すると長年の内に、壁土が床に降ってきて、それが床板と擦れて、板がざらざらになっていく。
しかし、閑谷学校の屋根は、壁土を使わずに、瓦を切れ込みを入れた木材に引っ掛けて、固定している。 だから、あまり掃除をせずとも、床が光り輝いたまま。
壁土が原因と分かっていたのが凄い。

 二つ目は、講堂の基礎に和風セメントを使っている。
和風セメントは、赤土、石灰、スサ、松脂、酒、粥。これらの材料を混ぜ合わせることでできあがる。
西洋のセメントは、かちかちに固まるので、時が経つと、劣化する。
しかし、和風セメントは、少し柔らかさがあるので、330余年たっても劣化していない。
だから、今でも床が完全に水平なままだそうだ。

 三つ目は、蒲鉾型の石塀。

この石塀には、雑草一つ生えていない。 これには、驚いた。
普通、組み合わされた石の隙間から、雑草が生えるもの。
石組みに隙間がない精緻さがあるが、隙間の線は見える。
石組みの中の割栗石を徹底的に洗って、土や種を取り除いているそうだ。
そうは言っても、330余年も経てば、植物はどこにでも入り込んでくるものだ。
それがないというのは、奇跡的だよ。

 津田永忠という人は、岡山のダ・ヴィンチと呼ばれているらしい。
創意工夫の人だね。
この番組を見て、一度実物を見に行こうと思った。
美しい建物でもあるしね。

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